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2017年5月31日水曜日

1年次スクーリング報告

そろそろ新緑の季節も終わり、カビやダニを含め様々な生物を育てる梅雨へと向かう時候となりました。とは言え、めちゃくちゃ暑かったり、妙に涼しくなったり不思議な五月でしたね。季節の変わり目、熱い夏に向け皆さん体調を壊さぬようにご注意ください。
 さて今日はつい先日行われた一年次京都スクーリング洋画Ⅰ-1「牛骨鉛筆デッサン」の報告と、これから石膏デッサンを受ける方のために、石膏デッサン予告篇が水口先生より届きました。


洋画-1【牛骨鉛筆デッサン】

 

2017年5月19日[金]~ 21日[日]/ 京都キャンパス 

担当:水口裕務先生


新入生の皆さん、ようこそ。入学間もない5月、1年次初めてのスクーリングが開かれました。シラバスをにらんで案ずるより易し、対面学習で実際に手を動かし、教員や学友と話すことで、多くの学びがあったと思います。 
これから盛りだくさんのスクーリングをこなすなか、技術面の体力づくりとともに、自分らしい表現意識の芽生えにも期待していきます。

さて本題は、1年次基礎学習として段階的なデッサン3題「牛骨鉛筆」「石膏木炭」「静物木炭」の初回配当となります。ほぼ全員がデッサン初体験ながら、なかなか骨(?)のある取り組みができました。



モチーフは牛頭骨の下顎を外し傾斜面に吊り下げています。これらには研究室内での呼称があり、今回は左から「イザベラ」「スカーレット」「ラスボス」のラインナップ。
その名前誰がつけたん??(影の声)



初日午前、簡単なスケッチで印象を把握、午後から場所を固定して本番スタート。

よくよく観察せよ、距離や傾きを測る、そのプロポーション、輪郭を追うな、面で捉えよ、面の向きが変わる稜線はどこか、のっけから教員の注文も多く、まだ慣れない目に戸惑いは隠せません。



2日目、制作風景




















それでも2日目、次第に日常を超えた見る眼ができてきます。構造や量をもった物体が空間にどうあるか、光や陰影の明暗を部分と全体の関係で見極め、慎重にトーンをのせる、こういった観察描写の繰り返しから、洋画でいうところの遠近の空間感や明暗法の描写術に理解を進めます。

2日目、寸評会



 3日目、制作風景





そして3日目、一定の完成を求め、講評会をもって授業終了となりました。対象とじっくり向き合い、目で考えたことの証を画面に定着させてきたこと、これからの礎となる眼差しのささやかな深まりが収穫です。

講評前の静けさ




 講評会、発表と意見交換



● 作品例
 

3日間、鉛筆が擦れる音のみ響く美しい時間を共有できたことを嬉しく思います。指導の上とはいえ雑言の反省も込めて、皆さんお疲れさまでした。

(報告:水口先生)

※ありがとうございました。続いて同じく水口先生から届いた「番外編」です。
石膏木炭デッサンのスクーリング予告篇のようです…。


[番外編]1年次スクーリング予告!!

洋画-2【石膏木炭デッサン】 

きたる   201769日[金]~ 11日[日]/ 京都・東京キャンパス 同時開講

その翌週 2017年6月16日[金]~ 18日[日]/ 京都キャンパス


 洋画Ⅰ-1「牛骨鉛筆デッサン」は京都・東京の全日程を終えました。引き続き上記日程で洋画Ⅰ-2「石膏木炭デッサン」の受講を予定されていることと思います。
多くの方が石膏も木炭も初めてかと思いますので、
             受講に先立ち予習方々講座内容をみておきましょう。

 昨年、2016年度「石膏木炭デッサン」1回目、6月開講分から振り返り、授業風景と学生作品例をピックアップしました。
 洋画を学ぶうえでお約束とされる石膏デッサン、英語でPLASTER CAST DRAWINGといいますが、今回のキャストはラボルトとメジチです。

ラボルトは別名パルテノンのヴィーナス、アバタのヴィーナスとも呼ばれ、パルテノン神殿の破風彫刻の一部と結論付けたラボルト伯爵にちなむ呼称。本当は海の神ポセイドンの妻アンピトリテらしい。最近ルーブルにあるオリジナルが修復前の状態に戻されたようで、何とも言葉を失います。


ラボルトオリジナル ギリシャ彫刻、パルテノン神殿から出土

一方メジチはルネサンス期フィレンツェの権力者メジチ家の三男で、政務に励むよりも芸術家のパトロンになるなど華やかな文化人でした。かのモナ・リザは友人のダ・ヴィンチに描かせたもの。


メジチ全身像 ミケランジェロ作

こういった彫刻を模った石膏像の圧倒的な量感や柔らかいトーンは格好の学習素材といえますが、なぜ今日の平成日本において、紀元前の女神やルネサンス彫刻を写すのでしょうか、そのロマンやエッセンスは皆さんが感じとってください。

では昨年の授業を振り返っておきます。
受講生252教室、教員も2人体制で臨みました。

初日午前の導入、用具説明


 初日午後から描画開始


初日の成果、全員分  皆さん個性が強すぎます!デフォルメは認めていません。





とっても個性的でユニークですね。(影の声)

2日目、制作風景


2日目、講評会        明日には何とかなりそうです


最終日、講評会



● ラボルト作品例

 

 

● メジチ作品例




いかがでしたか。初日の不安もどこへやら、皆さんそれぞれの到達を確認し、授業を終えました。牛骨鉛筆よりモチーフの難易度は高かったかもしれませんが、まんざら木炭の使い勝手の良さは実感いただけたようです。

「石膏木炭」の次はスクーリング配当デッサン課題の最後、「静物木炭」となります。画面サイズも通常木炭紙の倍判ですので、存分に空間づくりを楽しんでいただけます。
併せてテキスト課題の方も間を空けずに進めていきましょう。意欲作を楽しみに待っています。1年次担当教員)

水口先生添削の傍ら大量のブログ原稿に時間を割いて下さりありがとうございました。スクーリング報告は数知れずアップしてきましたが、スクーリング予告は初めてですね。いやァ、なかなか新鮮です。
みなさん!後半の予告、個々のイメージから客観性への変化解られたでしょうか?
これから受講される皆さんの不安も払拭されるかもしれません。

あの個性的な初日の画像が先生の指導で三日でこうなるのか~、なんて思われる方。きっと先生の手直しで良くなる、なんて考えてしまいがちでしょうね。
勿論先生方から見方を伝えるため手直しは入りますが、振り向けば皆さん個性的で先生の手直しを消し元の自分のイメージの方へと自然に傾いていきます。
でも、そんなやりとりを越え、徐々に客観的に見る訓練を繰り返すうち三日間でデッサンらしきものになっていくのです。つまり自分の力で変わっていくのですよ。
(K&Y)