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2020年9月25日金曜日

2020新制作展Web展覧会

 だんだんと秋めいてきました。皆さんお元気ですか?

卒業生から新制作の展覧会のご案内をいただきました。

今年は新型コロナ感染予防のこともあり、公募団体展はほぼ中止になりましたね。

通信洋画コースでは多くの卒業生の皆さんが各団体展に出展されていますので、例年このシーズンになりますと入選された方々の紹介や入賞のご報告をしています。

今回の新制作展にも新たに出展された方々の作品が見られます。

では新制作の一般出展者の作品をご覧ください。

バーチャルな美術館へ皆さんどうぞお入りください。

卒業生の渡邊啓子さん、ご案内ありがとうございました!

渡邊さんによりますと掲載のデータには機嫌があるようですので、

ご関心のある方は以下からでもお試しください。

                                               


2020916日(水)1231日(木)

新制作ホームページにて開催いたします。 

http://www.shinseisaku.net/wp/archives/21397


クリックしたらサイトに飛びます。サイト内にバーチャル美術館があります!

 


2020年9月23日水曜日

奥田先生個展「natural」

 皆さんこんにちは。今大学の窓から、秋の虫の音色が聴こえています。少し前までセミが鳴いていましたが、季節の移ろいを感じますね。

鳴く虫と鳴かない虫を想うとき、鳴く虫たちは色彩を断つ

藤田、心の短歌🍁

さて、先日の奥田先生の個展「natural 2」の様子を少しお届けしたいと思います。奥田先生は主任をされている事もありいつもお忙しくされていますが、とても多作で、毎日絵を描かれています。今回の個展タイトルであるナチュラルという語がしっくりくるような澄んだ水色が印象的な作品群でした。





写真にすると絵肌や艶が写らないのでニュアンスが伝わりづらいですが、絵肌に特徴がある作品です。少ないところで20層、多いところで60層程度アクリル絵具やメディウムが薄く塗り重ねられ、その集積で描いていくそうです。




写真では表しきれない絵の厚み、マチエールを今回展示に行けなかった方もいつか実際にご覧になってください。“絵作り”の良いヒントを見出せるかもしれません。




おまけ🌛作品と奥田先生。






2020年9月21日月曜日

1年次「対面」スクーリング報告 洋画II -1 静物油彩1 担当 田中愛子

  822()23()の2日間、東京外苑キャンパスで静物油彩1のスクーリング授業が行われました。今年度はコロナウイルスの影響で、外苑キャンパスでは初めての対面授業でしたが、受講生の中にはオンライン上でご一緒された方もおられて、和やかな雰囲気でスタートしました。

マスク着用、ソーシャルディスタンスを保ちながらも、直接作品を見ることができた充実した2日間でした。

 

さて今回の授業は、白を基調とした静物モチーフを油彩で描く授業です。


モチーフはこんな感じです。



①色彩のバルールを活用した奥行の表現、②三原色+白の絵具での混色、③個々のモチーフの質感の違いを意識する、というのが主な課題です。これまでの鉛筆、木炭デッサンでの学習を活かして空間を捉え、豊かな色彩表現を目指します。


油彩は今回が初めて、もしくは人体油彩に引き続き2回目という方が半分くらいだったかと思いますが、みなさんとても順調に進められました。


モチーフは2つの島に分かれて組まれています。かなりゆったりとした空間ですね。

1日目の午前中は、描きたい構図を選びエスキースをとる作業です。


たくさんある中からメインとなるモチーフを3つくらいに絞り、構図を考えていきます。

欲張ってしまいがちですが、F20号のキャンバスにどの部分を切り取るのか、どの位置からどの角度で入れるのか、モチーフの島をぐるりと回ってスケッチしながら、じっくり決めていきます。




この授業では、事前課題としてあらかじめキャンバスに下地を塗ります。

構図が決まればキャンバスに木炭で描き、午後から油彩制作に取り掛かります。


初めての方もおられましたので、簡単に油彩についてレクチャーをしました。

描き出しは主に揮発性油を使い、明暗を意識しながら絵の具を乗せていきます。



見えているモチーフに飛びついて一つずつ分けて塗ってしまいがちですが、モチーフを横断しながら画面全体の明暗を大きく捉え絵具を置いていくよう意識しましょう。


光の当たり方、手前と奥との関係を探っていくようにしてください。みなさんとても集中して、あっという間に1日目が過ぎていきました。




2日目。


めいっぱい時間を使って、引き続き制作していきます。

後半は、乾性油の割合を増やしていきます。画面のつやや絵具の重なりに変化が感じられるでしょうか。

中にはグイグイ画面に絵具を乗せる方もおられて、最初は戸惑っていた学生も、そういった方の制作を参考に画面を進めていきます。隣り合う色の関係、空間の意識、できていますか?

一緒に制作をされている方から学ぶことも多いですね。


悩み中。。



制作が進むにつれ、質感など細部に手が入ってきます。

全体のバランスを見ながら微妙な色や素材の質感の違いを意識していきましょう。

時々画面から離れ、明るいところで見ると見え方も変わりますね。






最後は、作品をずらっと並べて講評会です。

せっかくなので、隣に並んだ人の作品にも一言ずつコメントしていただきました。

話すのも練習です、と言うまでもなく、みなさんとても話し上手であっという間に時間が過ぎてしまいました。

zoomの授業で、知らない間に人前で話すことにも慣れていたのかもしれませんね。



ずらっと並べて見ますとそれぞれの苦心と発見が伝わってきます。どの作品も描き始めからたくさんの挑戦があり、丁寧で魅力的な作品に仕上がりました。いよいよこれからです。


初めて間のない方は不安があったと思いますが、枚数を重ねていけば油絵具にも慣れ、独自のカラーがどんどん出てきますのでご安心を。絵具をたっぷり使う、しっかり練るなど、絵具遊びをしてください。合わせて、デッサンやクロッキーも続けてくださいね。


これからみなさんがどんなものに魅力を感じ、また表現していくのか、その過程を楽しみにしています。


2日間、本当にお疲れ様でした。  田中愛子


2020年9月17日木曜日

2年生スクーリング報告「風景」

 秋めいてきて京都は過ごしやすくなってきました。本日は9月12日〜13日に行われた風景b日程の授業の様子をご報告します。本来ならば1泊2日の兵庫県スケッチ旅行でしたが、今年はzoomでの遠隔授業になりました。残念さはありますが、それぞれに発見や課題を見出せる時間になったと思います。


皆さんは熊谷守一という画家をご存知でしょうか。明治生まれの画家ですが、素朴な色面と線で描かれた絵画は現代になってもファンがいてその生き方が映画化もされています。守一は晩年あまり家から出ることなく、自宅と庭という狭い範囲の中に絵の題材を見出し、描いていました。何の変哲もない場やモチーフであったとしても、その作家の対象に向ける眼差しで絵画は生まれます。

授業内では水彩や鉛筆画の作品をはじめに紹介しました。










以上は一部ですが、スケッチを改めてよく見てみると、コンテでも水彩でも省略の巧みさに気がつきます。空間の構造(手前から奥にかけての奥行き)木々や建物などそれほど描き込んでいなくても的確なタッチや陰影で自然な形に見えますね。

ここからは学生作品。1日目はボールペンでモノクロで描く、二日目は水彩でカラーで描く、という形で1日に1枚ずつ描きました。ランダムですが授業内のスクリーンショットです。









油彩や鉛筆は修正ができますが、ボールペンも水彩も修正が難しい画材です。紙の白地をうまく活かせるか、自然なパースに見えるかなど描いていく中で課題や面白さが生まれてきます。まだ風景の授業を受ける前であれば、初めての画材の場合は授業前に小さなサイズで試してみる事も制作に入りやすくなるかもしれません。自主的に色々と取り組んでみてください。


今回授業を受けた皆さんは、「構図」「奥行き」の授業で掴んだセンスを今後の制作に活かしていってくださいね🌰







2020年9月15日火曜日

zoomスクーリング報告

《洋画Ⅳ-1 静物油彩2a zoomスクーリング》

 

前半:08.29-30  担当/由井武人
後半:09.05-06  担当/由井武人


引き続き、先ごろ行われた2年次配当の静物油彩2zoomスクーリングの報告です。
担当の由井先生は塑像と油彩に引き続き二度目のzoom授業、準備もとても大変ですが遠隔授業にも随分慣れてこられた様子、ご報告によると充実した授業内容になったようです。

前半:事前課題のコラージュ用コピー資料と研究室が準備した公開資料を各自で印刷して準備していただき、大判サイズのコラージュを制作します。それをトリミングして後半のエスキースとしていきます。

出欠点呼の後は課題説明です。


今回は少しその内容を覗いてみましょう。


小講義ではコラージュや画面の効果についての理解を深めるため様々な作家例と画面の扱いなどを紹介しています。


ジョゼフ・コーネル

アンリ・マチス

ワシリー・カンディンスキー


線の曲直対比や画面の区切り方など、思いだけでは表現しきれない画面効果についての具体性ですね。



受講生の皆さんも熱心に聞き入ります。大きな画面を扱う上ではとても大切なこと。きっと参考になったことでしょう。


さて課題説明やコラージュのことが理解できたら、作業開始です。

それぞれの狙いを胸にコラージュが進められます。


今回作業中の指導をスクリーンショットで撮影していただいたため、とても皆さんの作業内容がよくわかります。
由井先生、SAの方ありがとうございます

さて、どうしたものかな?

写真素材のプリント中でしょうか?

こうして…ああして…、と構想はどんどん変化していきます。

ひっくり返すと面白いかな?

これがポイントになるかな?

きっと指導は皆さんと由井先生のセンスとのぶつかり合い、
いや失礼共同作業といったところでしょうか。
そんなこんなで出来上がったコラージュ作品が下記です。


絵具ではなく画像を扱う作業、色とりどりですね。


さてここからが問題、全てを描かずどう切り取っていくのかが後半への課題です。
2日目終わりには講評を行い、由井先生からどう扱うかのアドバイスを以て前半終了!後半までにトリミングとキャンバスへの転写の必要があるようです。

後半:さて後半は前半で作成したコラージュ作品をトリミングしたエスキースを元に徹底した描写を試みます。相手は写真素材、全部描こうと欲張りすぎると2日間では無理があります。
果たしてみなさんはちゃんと描ききれるでしょうか。

3日目の午後の様子です。









まあ最初は、形をひき写し色を調整するだけでも大変なのでこんな感じでしょうね。画面が白い分慌てている方もおられたでしょう。

由井先生からは色の作り方や合せ方、グラデーションの説明などが施され4日目です。














午前ですのでまだ完成していませんが、形や色も随分入り進んだ様子頑張れ!

夕方には合評を行いました。
下記が皆さんの完成作です。


僅か2日間での描画時間ですが、コラージュという映像の下地があったとはいえ、絵が好きな方が集まり学んできただけあります。
皆さんさすがですね。


 今回使用した写真のコピーコラージュは現代では一般的な絵画制作の手法としてポピュラーになっています。このようにコラージュとはいえ描く下地となるエスキースさえしっかりしていれば2日間でも描くことは可能になります。
ただ写しただけじゃないか?と思われる方もおられるでしょうが…そうなのです。写しただけで一応絵にはなるのです。

 ただ今回のように描き写すだけでなく、色彩の変更をしたり整理や省略、強調といった編集、そして描画において絵具の扱いや筆遣いといった個々の様々なセンスを駆使してこそ魅力ある絵画として成立することはいうまでもありません。

体験された皆さんもこれに終わらず、それぞれのセンスを生かした絵画制作に挑戦していって下さい。
短期間での作業に次ぐ作業の連続、ひとつの手法を手にいれたことになります。受講生の皆さん由井先生お疲れさまでした。(Y)