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2014年7月23日水曜日

《東京スクーリング報告》

 梅雨入りの頃は今年は冷夏との情報でしたが、それとはうらはらにだんだんと暑い夏になってきましたね。どれほどテクノロジーが発達しても、相変わらず人知では自然を測りかねるようです。
 皆さんお元気にお過ごしでしょうか。

 さて今回は、東京で行われた「洋画Ⅱ-2 人体油彩Ⅰ」スクーリング前後半の報告が、それぞれの担当の先生から入っています。初日には主任の川村悦子先生もスクーリングを覗かれましたので、集合写真も届いていますのでアップしておきます。(Y)


【洋画Ⅱ-2 人体油彩Ⅰ】 

前半7月11~13日(担当:山本努先生)

後半7月18~20日(担当:小林良一先生)


●洋画II-2 前半「人体素描」(報告:山本勉先生)

 7/11-13の日程での人体素描が東京外苑キャンパスで行われました。受講生は19名です。
初日は午前中に台風が通過する不安定な天候でした。遠方からの方など大変だったと思いますが、なんとか多くの方に出席していただけました。



 人体素描は、牛骨、石膏に次ぐスクーリングになりますが、人体という生きたモチーフの持つ有機的な形態を平面上に起こしていくことがテーマとなります。
 塊を意識することは、前カリキュラムで行いましたが、人体の持つ骨格や筋肉によって稼働し、見かけを変えるモチーフを捉える上で、単純にモチーフの明暗を写し取るだけは全体を通してつながりを持った形態は描けません。
また、そこを意識することで、実際には見えない重心の位置や動きなどを汲み取り、自然な人体を描くことを目指します。


 カリキュラムでは、初日に様々ポーズをモデルさんに行っていただき、いろんな角度から310分のクロッキーをたくさん行います。
そのことから人体の形態がもつ自然な形態を捕まえていきます。人物やヌードが初めての方が大半で、始めは線を引くことに躊躇が感じられましたが、徐々に大きく対象の流れや動きを捉えることが出来ました。
また、コンテ、パステル、木炭といった描画材の種類などの質問を受けたり、能動的に自身の描き方への挑戦や個性を感じれたため、短時間で複数枚描く大変さはありましたが、充実した時間になったと思います。



 素描に入ってからは、固定ポーズで構図や人体の持つ流れ、重心がどこにあるのかなど形態などに気を配りながら制作していきます。
部分を描きながら、しかし全体を観ることで、モデルさんを観察すると同時に画面上でのやり取りを行います。木炭というやり取りの行いやすい画材ならではの取ったりつけたりを行いながら形を探れたと思います。
 
 


  講評会では、みなさんの素描を観ながらご自身の描かれた物や他者の素描にコメントしながら、後半の油彩に向けた事柄について話が出来ました。
それぞれ形態を観る癖や描く上で表出する個性など気をつける部分ともっと活かしていくと良いと思われることが、素描の中に詰まっていたと思います。どうしても印象の強い顔でご自身の素描を判断されている方もいらっしゃいましたが、それ以外の部分にも注目し、客観的に画面を観る良い機会になったと思います。



また、後半7/1921の日程で人体油彩を描く上で使用するキャンバスを自分で張る実習も行いました。所謂、既製品の張りキャンバスではなく、今後自身の制作を進めていく上で様々画布や木枠の組み合わせが出来るようになるため、表現の幅が広がると思います。なにより、素描制作後の疲れた中でのカリキュラムにも関わらず、参加された方々が高いモチベーションで制作されていたことが印象的でした。 (山本努)



●洋画II-2 後半「人体素描」(報告:小林良一先生)


 人体油彩Ⅰ、後半の人体ヌード油彩制作です。
まずはクロッキー、そして描きたい位置を決めてからエスキースをします。
曖昧なままはじめてしまうと、あとあと苦労しますので、この時点で構図とか背景のプランをしっかり検討します。


             1日目の終わり頃、絵具も全体にのってきました。


2日目 朝、まだポーズが始まる前から画面に向かっています。
主に背景と人物との関係をどのようにして行こうか考えながらの制作です。


二日目、モデルポーズ終了後の中間講評
3日目にやることを明確にするため、絵をイーゼルから移動し壁にかけじっくり見ます。


3日目は午前のみ制作で、午後からは合評会。学生にも発表してもらいます。

 自分の作品についてはもちろんですが、自発的な発言が多くなれば、それだけ活発な場となりますので、他の学生作品についても感想を述べ合ってもらいました。(小林良一)



受講生それぞれの作品



 ※以上、台風の影響も少しはあったようですが、無事に初めての人体油彩を終えられた皆さん。
   山本先生のコメントにあったように、静物とは違いわずかの動きで変化する人体の面白さと
   難しさを体験されたのではないでしょうか。

     山本先生、小林先生ありがとうございまいした。(Y)
  




 

2014年7月12日土曜日

《スクーリング報告》

 今回はこの7月6日まで行われた、京都スクーリング小枝繁昭先生の「抽象・後半」と、7月9日まで行われていた「塑造と人体」石田歩先生からの報告です。

【洋画Ⅴ−9 抽象(後半)】 担当:小枝繁昭

6月13日〜15日(前半)・7月4日〜6日(後半)

上記の日程で3年次のスクーリング・洋画Ⅴ−9抽象を開講しました。参加者は卒制着手者2名を含む11名です。
 このスクーリングは、今年度から「抽象を学ぶ」から「絵画における抽象性を考える」へと内容が少し広がりました。細かな内容に関しては、受講されるまでのお楽しみとしましょう。

●前半の授業におけるこれまでの流れ
 先ず、作品を制作する上で『画面の中には、具体的なモノの形を再現しない。また、具体的なモノを連想できる形も描かない。』と言う条件を提示しました。
ほとんどの学生は、今まで具体的なモノしか描いた経験がありません。それが禁じ手となればさあ大変です。とにかく何か手掛かりを求めて屋外に取材に出かけたり、自分の内にある“何か”と向き合ったりとの迷走が始まります。その後、少しずつドローイングで構想を練り出すことになります。

 もう一つ並行して進める学習は、過去の抽象表現活動における時代背景やそれを支える思想や、西洋と日本の絵画観の差異などを検証する学習です。こちらは、グループに別れ調査内容を分担し学習を深めていきます。

前半の最終日には、作品の構想とそれに至る過程の発表を行ないました。グループ学習に関しては、分担を確認し、後期までの家庭学習となりました。


後半の授業内容

先ずは、家庭学習でまとめた結果の報告会です。(それぞれのグループで、自分たちが調査した内容を発表します。)







前半の最後に報告した構想に基づき、作品制作は自宅学習ですでに始まっています。

  バレエの経験を生かし、リズムの痕跡で描こうとする人、規則的な方法と偶然を対峙させることで画面を生み出そうとする人、モノの中に潜む光の色を探求しようとする人、仕事の経験を生かし循環や構造といったキーワードで制作に向かう人、記憶や経年変化の美しさ、赤や絵具の質感といった色や物質性を手掛かりにする人など、思い思いの試みが展開されていきます。


 
                              





















家庭学習を含めるとほぼ4週間の悪戦苦闘の末、こんな作品が生まれました。(結果として生み出された抽象?絵画、皆さんはどうご覧になりますか!)

 

 

 
 








 

最後に合評です。それぞれが考えた絵画の中に含まれる抽象性についての討論を行ないました。


  受講された皆さん、困難な授業内容にも真摯に取り組みとてもよく学習されました。これからの学習と制作に少なからず問題点を見つけだせたのではと思います。
   どうもお疲れさまでした。                             (報告小枝先生)




【洋画Ⅲ−1 人体油彩2-塑造と油彩】 担当:石田歩

7月4日〜9

 さて、こちらは男性ヌードでおなじみの、2年次該当スクーリング「塑造と油彩」です。

前半で、構造を掴むために粘土で立体を作り、デッサンをすすめていきます。
立体としての人体の構造を簡単な解剖学を含め理解し、如何に平面に存在感のある人体像を構築するかというところですね。

 皆さん悪戦苦闘だったと思いますが、かたちに塗り絵をしていく感覚ではなく、デッサンでもどっしりとした存在を感じ出していきます。





塑造とデッサンの前半講評


併せて構造やものの成り立ちを学びます。


さて後半はいよいよ油彩





塑造やデッサンとは勝手が違いますが、油彩でデッサンしていく感覚で、それぞれ大胆に絵具を扱えるようになっていきます。


 最後に合評
初体験の塑造・木炭・油彩による実在感の確認という作業如何でしたか。

受講生の皆さん、石田先生お疲れ様でした。


※さあ、いよいよ2014年度も夏にさしかかり、これからは各年次のスクーリングも目白押し!
暑い夏は疲れもでますので、十分に注意をしていただきながら、それぞれの実習で自宅では得られない貴重な学習をしていただければと思います。

 そして、それらを糧に秋にはテキスト課題も順調に進んでいくよう計画もしてください。(Y)




2014年7月9日水曜日

展覧会「渡辺恂三一座リターンズ!」

 洋画コースの先生のお一人で昨年8月12日にご逝去された渡辺恂三先生を偲びオマージュする展覧会が8月12日から京都のギャラリーヒルゲートで開催されます。(少し早めのお知らせですが、皆さんどうぞお忘れなく。)

卒業生の皆さんのなかには、色彩も鮮やかに様々な手法で、実験的な絵画の表現法をご指導いただいた渡辺先生を懐かしく思い起こされる方も多いことでしょう。
先生を偲んで、本学の中原史雄先生や小西煕先生も賛助出品されます。
渡辺先生のカラフルでユーモアー漂う恂三ワールドを心行くまでご堪能ください。
このお顔写真を拝見して、恂三先生の柔らかいお声が聞こえてきそうです。
「みんな来てよ」って。
先生のお作品は今年の新制作展でも遺作展として京都市美術館で大作が拝見できると思います(K.)


渡辺恂三一座リターンズ!
2014/8/12-8/17 
ギャラリーヒルゲート1F/2F
京都市中京区寺町通り三条上がる
12:00-19:00 (最終17:00)







2014年7月7日月曜日

洋画OB,OG,在学生NEWS、バルチュス展など:追記


 川村先生より、皆さんが活躍されている様子の報告がありましたが、杉森康彦さんが出展されている第62回光陽展準本展には卒業生の温品(ぬくしな)廣助さんも出品されていました。
 また、松本繁文さんが佳作賞受賞された第64回西宮市展では、同じく昨年度卒業の森山麗子さんが西宮市議会長賞を受賞されたとの報告がとどいています。
 しかし、これでも私たち教員の耳に届くほんの一部。
これ以外にもさまざまな地域で皆さんが活躍しているのはすべては報告できません。
なかなかすべてを見せていただけず、掲載することはできませんが、皆さん本当におめでとうございます!

 いやぁ、この春からだけでも個展やグループ展、各展への入選・入賞と通信洋画の卒業生の皆さん本当に頑張っておられます。他に類をみないおどろくべきご活躍ですね。
 
 通信洋画が教育目標にしている、「卒業が目標ではなく卒業してからが勝負!」を実行していただいているのが私たち教員の何より励みになります。
 要は、展覧会の優劣ではなく続けること、それこそがなによりの力です。
 これからも描き続け、競い続け、励まし合ってより豊かなものを築いていきましょう。(Y)



2014年7月6日日曜日

洋画OB,OG,在学生NEWS、バルチュス展など

紫陽花の彩りが美しいこの頃です。皆さんお元気ですか?
今日は卒業生、在学生の活動状況をお知らせします。皆さんのご活躍は研究室に届くDMや、メールなどでご案内いただくものですから、ごく限られた情報かもしれません。ご理解ください。

大阪美術クラブからまとまったお知らせがありました。

村山建司さんの作品が第65回大津市美術展に入選されました。
頃安恵さん、松本繁文さん第64回西宮市展に入選。松本さんは佳作賞受賞されたそうです。皆さんおめでとうございます!
また第62回光陽展京都準本展に杉森康彦さんが出展。今日7月6日まで京都市美術館で開催中です。 
先日私の個展で卒業生の方々にお会いする事ができましたが、勝田由紀子さんからは朱葉会に入選のお知らせをいただきました。皆さんのご活躍を教えていただくのは研究室にとって嬉しいこと。皆さんの新情報お待ちしています。

7月の京都といえば、なんといっても祇園祭りですね。
今年から山鉾巡行が2回にわたって行われ、先の祭り、後の祭りとして市中を巡ります。
その祇園祭をライフワークにして描いているのが、大学院在籍の杉森さんです。
祇園祭に会わせて特別な場所で展示会が行われるそうです。


杉森康彦祇園祭32年計画油彩画展

「ライフワークとしている祇園祭の山鉾のF100号の展示です。
新作の「霰天神山」「祇園祭洛中洛外図」と、これまでのF100号の油彩を展示いたします。
すいません、一般公開はではなく、京都小泉さんのお得意様のみの展示会場となっております。
17日でしたら見せていただけるそうです。
(15-16日は無理だそうです、17日はOKと小泉さんから了解いただけたそうです。杉森さんから連絡ありました。)

【会期】 711()16(水)
【時間】 京都小泉様 開店時間内
【場所】 「京都小泉(株)」
     京都市下京区新町通り仏光寺下がる岩戸町

 
 さて一昨日から京都市美術館にてバルチュス展が始まりました。そのオープニングはすごい人で、京都市美術館始まって以来の鑑賞者で埋まったそうです。
私はレセプション終わりに会場に滑り込み入館しましたので、展示会場は人も去り、とても見やすい状況でした。バルチュスのアトリエの一部が再現されたり、最晩年の写真も展示されていましたね。作品はとても近い距離で見られました。また作品の前にガラスやアクリル板が殆どなく、バルチュスの筆跡や、マチエールなどしっかりと目にすることができました。自然光を特に大事にして制作したバルチュスの眼差しをご覧になっては如何でしょう。私ももう一度じっくり鑑賞したいと思います。(K.)