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2017年11月30日木曜日

4年次卒業制作スクーリング報告

1年次のスクーリング報告に引き続き、4年卒制のスクーリングが11月24日〜27日の4日間、京都本学で行われました。その授業風景を紹介しましょう。

前回の9月末から皆さんどのように展開してきているでしょうか。
今回も前回同様AB合同で開催。

教室内は前回と違い、AB両クラスの学生同士が初めて一緒に制作を開始しました。

その模様を一挙公開します!

初日は各自のポートフォリオを教員とともにチェック

A4サイズのクリアファイルに30枚の作品が揃っているかどうか。
いわば各自の作品集となるように、編集力や出来映えも確認していきます。

ポートフォリオ製作を通して、皆さんの制作の経緯を振り返ります。
本学に入学され、この数年の成果として卒業制作に臨まれるわけですから、今までの自分の制作の流れを確認・自覚していくことは大切なことですね。
このポートフォリオは皆さんの今後の制作を進める上でも多いに役立つものですし、
実際、洋画のポートフォリオは優れたものが多いのです。

下写真のように、教室中央に夫々のポートフォリオを提出して、
全員が閲覧できるように並べます。

皆さんのはどんなのかしら

ポートフォリオを囲んで井戸端会議?

ABの仲間の会話が弾みます
そして、副論も提出します。
卒業制作の授業は作品を描くだけではなくて、先に紹介したポートフォリオ製作と、
副論執筆が課題として課されています。

副論というのは卒制の制作について、各自の制作工程と、考え方を述べるものです。
絵画が言葉で表現できないものであるだけに、客観的な視点で自らの制作を見直し、
なぜこういう作品を生み出すことになったのか、思考を深めます。

それら両方の視点があって、卒制という100号の作品2点が支えれられ、学生自らが舵をとって大作を描くという、いわば大海原に乗り出すのです。

ちょっと大仰かな?
ともあれ、絵画を描くことは、何やら航海に出る気持ちに似ているのですよ。

自分はどつちに向かうのだろう。

どう進めていけばいいのか。

そういった自問自答が絵の前で繰り返されます。

では思案し、迷い、そして夢中で描いている皆さんの後ろ姿を覗いてみましょうか。

残念ながら全員ではありませんが、

なんとも素敵な姿ばかりです。

100号3枚目に突入!
靴脱いで座ります。描きます。

立ちっぱなしです。

龍も観音様も描きました。次は?


踏切の記憶。音の記憶。

開花!!!

天高く。一軒の家。

西脇サムホール大賞展に入選しました。


淡々と描きます。静か。

後ろ姿ー相見先生と。


思案中。絵を観るのは描く事に繋がりますね。

けむる景色。とてもウエット。

遠くから眺める事。これまた大事。

下に置いて描く事も。ありやね。

緑 みどり 碧かな。

甥御さんも描きました。もう一枚はコレ。

家族の肖像 2枚目です。

白い帽子に何を描くか。黙々と思案中。


後ろ姿ー奥田先生と。


後ろ姿ー水口先生と。


後ろ姿ー山河先生と。

何かを思い出す色彩。何でしょう?

座ります。描きます。

2枚を縦に並べます。

家族の肖像。お母さんと対峙。


これはひょっとして自画像かな。


北斎と田植え。時間軸が大切。


なんか良い時間過ごしています。

絵画とファッション似てきます。
後ろ姿ー川村と。ほっこり?

こういう椅子があったのや。


  
    ん?ゴルフ?いや体操かな。身体解きほぐさないと。


100号2枚を描く事は決して容易いことではありませんね。
このことは体験した人でないとわからないことですけど、皆さん黙々と取り組んでいました。
20代から80代までの学生たち53人が、一斉にキャンバスに向かう姿は壮観!!!

副論を拝読すると、
皆さんの来し方が美術とともにどう交差してきたかがうっすら見えてきます。

若い時から今に至るまでに、
何時とはなく絵画という不思議な物体に出会い、惹かれ、なんとかものにしたいと本学に入学された皆さんです。

やっぱり魅力的ですね。
さて
卒業制作も山場を迎えました。

残す所はいよいよ1月の最後のスクーリングですね。
出来る限り、自宅で毎日一筆を運んでみて下さい。
その毎日の継続が大きな力になります。
そして、描く事を思い切り身体に刻んでほしいと願います。

ではまた次回に。おつかれさま。(K.)















2017年11月29日水曜日

一年次スクーリング報告&卒業生のご活躍

 急に寒くなりましたね。もうすぐ師走、京都では今年度最後の一年次スクーリング「静物木炭デッサン」が行われました。

 と同時に2014年度卒業生 蜂谷真須美さんから、倍率15倍を超える難関公募コンペティション損保ジャパン「FACE2018」入選の報告もありました。蜂谷さんおめでとうございます!!また現在卒制制作の4年生秋山博之さんが横尾忠則さんの故郷でもあり、横尾さんが審査されている第11回西脇市サムホール大賞展に入選されました。現在兵庫県の西脇市岡之山美術館で12/3まで開催されています。みなさん頑張っておられますね。

 こちらは、まだ展覧会案内が掲載されていないようですが、
会期:2018年2月24日~3月30日 10:00~18:00(入館は17:30まで)
会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
※月曜日休館 
上記の予定で開催されるようです。関東在住の方是非みてあげて下さい。
※実は他にも別の受賞報告が入っているのですが、まだ公表されていないのでアップは後にして欲しいとの本人希望です。また連絡があり次第報告しましょう。

《洋画Ⅰ-3 「静物木炭デッサン」》


期間:11月24日(金)~26日(日)
担当:由井武人先生


たかが炭の棒、されど炭の棒

 どこを見ても紅葉シーズン真っ只中の秋の京都、11/2411/26まで瓜生山キャンパスにて1年次の静物木炭デッサンのスクーリングが行われました。


 石膏や牛骨で学んだ形やプロポーション、明暗の観察に加えて1年次で唯一モチーフが複数個になるデッサン課題で、モノとモノとの関係性や空間、距離感などを捉えられるようになることがねらいです。また、黄色い布と白い布、ゴムの木の葉の濃い緑とパイプイスの黒い色などモチーフの色味の違いをトーンでどう表現するかもこの課題の醍醐味です。
石膏デッサンで苦労して木炭に苦手意識を持つ人もいるかもしれませんが、さあどうなったでしょうか?

どのスクーリンでも毎回言うことですが「1日目はあせらず慎重に。2日目は大胆さと勇気!3日目は粘りとこだわり。」です。

まず1日目は先を急がずに慎重に、午前中は画面にどうモチーフを入れるかエスキースを考えていきます。絵画にとって重要な構図の研究です。午後からはプロポーションと形を探っていきます。



2日目は勇気!
とにかく大きな画面です。モチーフだけでなく、部屋の広さや明暗も観察しながら空気感を捉えベースとなるトーンを重ねていきます。
2日目の午後、ここで大胆に思いきった制作が出来るかどうかがスクーリングの充実感、満足度、得るものの多さを左右します。


腕を大きく動かしてゴシゴシと木炭をのせていくと自然と気持ちが昂揚してきて、もはや視点の固定どころではありません、スタンディングオベーション状態。



「先生、指紋がなくなりました。」とKさん。


「木炭を1日で3本使ってめちゃめちゃ楽しかった。」とYさん。
私の勝手な想像ですが、もしかしたら木炭は人類が手にした最初の絵を描く道具ではないかと思います。焚き火の後の焦げた棒で石や洞窟の壁にゴシゴシと何か描いたとしても不思議ではありません。油絵が約500年、アクリルが100年経たないくらいなのに対して、人類が何万年も前から使ってきた道具だとしたら、ゴシゴシと木炭を擦ることは人間が古くから持つ原始的な快感なのかもしれません。

3日目は、粘りとこだわり。グレープフルーツの映り込み。ゴムの木の葉っぱの厚み。布のしわの表情、パイプイスの金属の質感などそれぞれの視点で細部までこだわって追求していきます。





 合評風景




今回は1年次スクーリングということもあり基本的な木炭の使い方を学びましたが本来はただの炭の棒なのでどう使おうと自由です。木炭紙にしか描けないわけでもなく、2〜4年次でも最近木炭触ってなかったなという人はたかが炭の棒くらいの気持ちでゴシゴシと遊び、制作してみてはいかがでしょうか。
されど炭の棒、意外な表現の展開につながるかもしれません。(報告:由井先生)


「 心臓の網 」 由井武人木炭作品

※そうですね。私達が学んでいる絵画は、ほんの一本の木切れでも地面に絵が描ける分野です。例え鉛筆や木炭であっても、皆さんは魔法のようにそこから絵を生み出しているのです。最初からうまく描けないかもしれませんが、その点では誇りを持って学習に臨んでいただきたいと思います。

 丁度卒制も行われており、少しのぞかせてもらいましたが皆さん静かに集中しておられました。受講生の皆さんも途中卒制を見学にこられ100号二点或いはそれ以上と格闘する卒制着手の方たちの作品を見られて、圧倒もされ刺激も受けたことと思います。
 おまけに由井先生の木炭で描かれた作品まであり、きっと中身は熱いスクーリングになったことと思います。(Y)