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2019年11月7日木曜日

2年次科目 静物油彩Ⅱ 東京スクーリングの報告

東京スクーリング静物油彩Ⅱ担当の田中愛子先生と酒巻洋一先生から
報告です。

洋画Ⅳ‐1「静物油彩Ⅱ」 前半担当:田中愛子

10/5・6に、東京外苑キャンパスで静物油彩Ⅱの前半授業が行われました。
後半の油彩と合わせて4回の授業になります。
東京での受講生は24名でした。

前半の授業では、静物モチーフの写真を用い色と形に特化した「構成」に着目してコラージュを作成します。
後半は、作成したコラージュをトリミングし忠実に油彩で再現していきます。

これまでのように、目の前にあるものを見て描くだけでなく、平面化された対象をモチーフとして、コラージュ手法を用いながら画面を構成していくことで、空間構造に自由を与えることが目標の一つとなっています。
導入としてコラージュとは何か、そして画面構成についても簡単にスライドをお見せしたあといよいよ制作に入ります。

みなさん、さてさてどこから始めようかと少し困惑気味。
ひとまず持参の写真を並べてみて…
机の上をぐるっと見渡すだけでかなり個性が出ています。
構図や完成イメージが思い付かないと声を上げていた方々も、写真を拡大コピーしたり切ってみたりと、少しずつ手を動かし台紙の上に写真を乗せていくと楽しくなってきたようです。
序盤の様子。
いい感じに散らかってきました。
模様が大きく入った布やお菓子の包装紙なども材料に。
クロッキー帳に構図のイメージをスケッチしてみたり、画用紙に絵の具を塗ってオリジナルのテクスチャーをつけ、それを切り抜き下準備されている方も。
初めに少しスライドで見せた、マティスのカットアウトの「切り絵」のようです。
台紙の大きさは気にせず自由に大胆に写真を配置させながら、画面を動かしていきます。

後半の油彩授業では、今回作成したコラージュから油彩として描く部分をトリミングし、F 20号のサイズに拡大して描写します。細密描写での表現になりますので、あまり細かく広範囲になってしまうと描くのも大変!
どこをトリミングするのか、魅力的な構図はどこなのか、少しずつ油彩のイメージも持ちつつ進めていきます。
1日目の最後は、ぐるりと机を回りながら2日目に向けて一言ずつコメントしていただきました順調に作業が進んでいるようです。
2日目は、前日の続きと、後半の油彩に向けトリミングした原寸大の下図の作成に入ります。新たな写真を増やしたり絵の具で画面に変化をつけるなど、コラージュの密度も上がってきています。貼ったり剥がしたり上から重ねてみたり、いろいろと手を動かしてみるのがポイントです。ふとした色や形の組み合わせから、予想外に面白い構図が発見できてワクワクしますね。どの場所をトリミングするのか、みなさんかなり悩んでいます。
最後は完成したコラージュを並べて講評です。
みなさん、前半2日間本当にお疲れ様でした!
力作コラージュも少し公開!
この授業を機に、コラージュに目覚めた方もいたようです。
最後、画面の中からトリミングをして原寸大コピーを作成するのは少し面倒な作業だったかと思いますが、今回のような細密描写では初めにキャンバスへのトレースを丁寧にしておくことが必要になってきます。ご負担にはなってしまいますが、ご自宅でトレース作業を進めていただくと後半の授業がスムーズかと思います。
こんな進め方もあるのか!ということがわかっていただければ今後の自由制作に活かせることがあるかもしれませんね。
油彩では、今回のコラージュをどのように描いていくのか。
じっくり丁寧に観察し描写していくことで、写真との色の違いや質感の表現などディティールにどこまで迫っていけるのか、後半もとても楽しみにしています。
(田中)


洋画Ⅳ‐1「静物油彩Ⅱ」 後半担当:酒巻洋一

1019日(土)、20日(日)「静物油彩Ⅱ」の後半2日間を担当しました。
前半で制作した事前課題で撮影したモチーフを構成したコラージュ作品をそのまま油彩で描いていきます。コラージュをトリミングし、20号サイズにトレースして、そのまま描いていきます。
課題の性質上ストイックな作業が予想され充実した作品が生まれそうな予感もしつつ、反面、単なる作業にならないように見守りたいと思いつつスタートしました。
 
下地を施したキャンバスを、平置きして写真の色彩を調色しながら慎重に彩色しています。日ごろの制作プロセスと全く違い、新鮮さを感じているようです。
一応「卓上の静物」というテーマ設定でしたが、大きく展開している作品ばかりです。

コラージュ全体の一部をトリミングして描きます。ほかの部分を切り取っても面白い作品が生まれそうな予感がします。作者が着ている服の色味と響きあっているようにも感じますね。
2日目に入るとさらに密度が上がっていきます。やり切りたいという思い、焦り(?)と共に教室内の集中度が増していきます。ほとんど会話はありません。
皆さん没頭して制作されていたので、途中段階であまり口を挟むことがなく、担当者としては楽な(?)スクーリングでした。もちろん絵の具の乾燥の問題、写真表現をどう絵具で表現するのかなど指導はしましたが

合評には密度のある作品が並びました。ご自分で制作した作品を客観的に見て驚きながらも、中には、自身の表現方法にとっての”新たな発見“があったと語る方が多く見られました。3年次以降の自由課題に向けて、ぜひ、この経験を活かしてほしいと思います。(酒巻)