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2016年8月11日木曜日

外苑キャンパススクーリング報告

津上みゆき先生より東京外苑キャンパスでの三年次該当スクーリングの報告が届きましたのでアップします。京都は連日の猛暑、東京も暑い中皆さん頑張っておられるようですね。

《洋画Ⅴ-2 「人」》


前半:7月29(金)~31日(日)
後半:8月6日(土)~8日(月)
担当:津上みゆき先生


「人物画」ではなく、科目タイトルは「人」です。
人そのもの、人のいる空間、人に関わる物事、または別のなにか。または自分自身?
これまでの課題のように、与えられるモチーフやモデルさんは、教室には用意されていません。ここにあるのは、各自の机と制作スペース、大きな画用紙、30号の真っ新なキャンバス、そしてみなさんご自身です。
さて、何を描いていくのでしょう?
制作テーマに即した取材や下絵づくりを通して、自身で考え制作する、それぞれの方法を探ってみましょう。

■前半
7/29(金)
・全体スケジュール
6日間のおおまかな日程を、説明・確認します。

・自己紹介
「人」についての考察や予習してきたことも、あわせてお話ししていただきました。

・国立西洋美術館へ
それぞれの課題や思いを念頭に、電車を乗り継いで上野へ。道中の車内や駅構内などの何気ない日常が、「人」というテーマで切り取れられていくようです。上野公園周辺は、外苑キャンパス界隈とは、なんとなく街の雰囲気も異なります。いつもの美術館、いつもの名作も、自作に刺激を与えます。各自持参したカメラ、スケッチブックには、絵になりそうな素材やイメージが蓄積されていきます。

・クロストーク(輪になって)
授業開始から美術鑑賞までの流れの中で、発見したこと、気持ちが動いた事、課題に繋がるヒントなど、それぞれお話ししていただきました。

最後に、スライドとファイルによる参考資料を紹介しながら、もう一度、「人」という課題について整理し、明日からの作業に向けて何を準備すればいいのか、まとめました。

8/30(土)
昨日はグループワーク中心でしたので、今日は各自の仕事に集中します。静と動です。
スケッチブックに幾つものアイデアを連ねる方、追加取材に出かける方、大きな画用紙に構想を固める方、コラージュする方、描画するだけでなく、雑誌などの既存のもの、またはカメラやコピー機などをうまく使って、各自イメージを可視化していきます。
同時期に「人体油彩」が開講されており、ご担当の小林先生のご厚意で、興味のある方には人物クロッキーをするチャンスをいただきました。

8/31()
引き続き、下絵づくりです。


そして、小林先生ご登場です!一人一人に新しい目でご指導ご助言をしていただきました。いろいろな視点からの言葉は、何よりです。小林先生、ありがとうございました!


前半最終日の講評会、というより座談会形式の発表会。3日間で練った現時点での構想を、下絵を基にお話ししていただき、学生同士でコメントをしていただきました。
様々な意見、それぞれの思いを胸に、4日間の小休止です。


 

■後半 
8/5(金)
後半の始まりです。
引き続き下絵づくりに余念がない方、いきなりキャンバスに向かう方、さらに構想を発展させ、前半で描きこんだ下絵とモチーフを変更する方、追加取材に出かける方など、多種多様。
個々のペースで、「人」というテーマと、30号のキャンバスに、近づきます。

  

8/6(土)
各自のペースで、制作続行中。
少し作品と距離を置くために、授業最後に作品を並べていただくことにします。
今日の講評、クロストーク、お題は「作品タイトル」です。(仮)でも、数案だしても構いませんので、自作のタイトルに思いを馳せながら、制作を進めていただきました。そうすることによって、ただ絵を完成させるのではなく、絵という媒体で、人とコミュニケーションを取ることが、作品を発表する一つの理由にもなることを、実感していただければと思います。講評会では、作品タイトル(仮)を発表していただき、それが作品にあってるのか、良いのかどうか、などを話し合いました。
ここで作品同様、個性的な作業風景をご紹介します。
 














8/7(日)
授業最終日、といってもいわゆる完成形を目的としていません。それぞれに納得のいく方向で、一度筆を置くというイメージで、最後までテーマと自身の絵画制作、プロセスの追求を積極的に行ってほしいと思います。
突然全く違う絵になっても、誰も否定はできません。
ここで、2枚目を描いた方を紹介します。意図的ではないのですが、連作として並べてみました。今回の課題を超えて、描き手の中にしかない何かが垣間見えるようです。
だからといって、いっぱい描けば点数が上がるってものではないですから!念のため。

 



講評会風景。力作ぞろいです。
時間切れで完成には至らなかった方、ぜひご自身のためにも仕上げることをお勧めします。



   東京スクーリングが最後の方もいらっしゃるようで、記念撮影をしてみました。
引き続き、京都でも頑張って下さい!

   
今回の授業では、「人」という、自身にとって近いような遠いような、多様なテーマについて、自由に発想することから始まりました。そこから、各自で取材し、下絵づくりを重ねることで、制作の方針・方向性を自ら取捨選択・切磋琢磨し、自分自身にしかできない表現へと発展させることを目指しました。
それぞれに得たことや次の課題は様々だとは思いますが、何かしら今後の制作の糧になればと思います。
(報告:津上先生)

※津上先生、受講生のみなさまお疲れさまでした。
人、本当に身近なのにあまりゆっくりと振り返って見たり、表現として考えることの少ないものですね。多分、一体自分って何なのか、人を描写するだけでなく、どのように表現したいのかなど、多くの初体験があったと思います。考えれば難しい問題が多くありますが、これも表現者への一歩。
大いに悩むことが自分の表現をみつけることに繋がるのでしょうね。
(Y)