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2018年11月23日金曜日

東京スクーリング「風景」

 11月も後半に入り、急に寒くなりましたが皆さんお元気でしょうか。
今回は東京外苑での二年次スクーリング「風景を創る」に、京都から特別に水口先生が出張して下さいました。
 とてもたくさんの方が受講されていたので、酒巻先生と小川先生にもお手伝いをお願いしました。

2年次・東京スクーリング報告

《洋画Ⅲ-2【風景を創る】》 


2018119日[金]~ 11日[日]/ 外苑キャンパス


担当:水口裕務、小川万莉子、酒巻洋一


 洋画Ⅲ-2「風景を創る」c日程を受講された皆さん大変おつかれさまでした。総勢35名の受講生が思い思いの場所に散らばるなか、教員も2名体制で臨みました。在所をマークした地図を片手にオリエンテーリングよろしく訪ね歩いてくださった小川、酒巻両先生ともおつかれさまでした。

 近隣の名所「神宮外苑いちょう並木」もいよいよ色づき始めた時分、なるほど、ここが紅葉ランキング全国1位の人気スポットらしいことはうなずけます(ちなみに2位は京都祇園の高台寺らしい)。しかしこういった格好のロケーションは日曜画家たちに譲るとしましよう。われわれが本課題で探るべきは、どちらかといえばお約束の風光明媚な画題に囚われないところの「風景から抽出した自分の表現を創る」ことであり、何より皆さんそれぞれの新鮮な視点の発見を期待したものです。

与えられた対象を写し、そのバックとしての空間を整えてきたこれまでの学習とは勝手が違います。ここでの対象は360度リアルな空間そのものであり、空気や光が移ろう実感とともに、その何に惹かれるのか、自身の興味の中心を探ることから始まりました。全体の何処をどう切り取って、どう描くかなど、空間を平面に置き換えるうえでの表現手法の問題もまた、3日間描画材料を替えたことで自分なりの造形解釈のヒントがあったかもしれません。

それでは3日間の学習を振り返っておきます。


[初日]朝方の雨もあがりラッキーな始まりに、さっそくキャンパス構内あるいは構外はキャンパス前の外苑敷地内公園に飛び出しました。ようやく3日間を通して向き合える場所を定めて描写に入った頃合、まさかの四谷署の警官に呼び止められ、この公園を警備の理由で昼から閉鎖するとのこと、その日9日は平成最後の園遊会が隣の赤坂御苑で開かれるということでした。公園組は一時無念でしたが、どのみち昼休みから降雨となり、午後は全員学内での制作となりました。まずは手慣らしに鉛筆スケッチで、改めて着目点を探りました。
外は雨、2F教室から木々を見る

 1Fではポプラ、教員も張り切る

一人の静かな時間

 雨にも負けず描く

学舎の眺め、2Fで窓外や廊下床を描く者

初日講評会、35名の発表と寸評を駆け足で

 [2日目]天候に恵まれ、公園も開放されています。ボールペンという消せない線材を用いて画面空間すべてに手を抜かない観察描写が課せられました。鉛筆や木炭では出せない黒色がトーンの幅にメリハリを与え、慎重かつ潔い追求から明快な表現がみえてきました。
 2日目は晴れた

 公園には約16名入った

教員と木を見上げて

光の道

学舎正門横、光線は強く気温も上昇

2日目講評会

1名体調を崩されたため、全34作品を確認しました
  
[3日目]晴れ、はや最終日となる今日は水彩絵の具を用いて、色彩や描法についても表現を探りました。絵の具の透明・不透明を問わず、鉛筆・ペンの併用も自由、スポンジやマスキング液を遣う学生もいます。水彩表現とはいえ自由度の広がりに伴い、それぞれの美意識が発揮されてきたようです。対象そのものへの興味、空間全体をつくる興味、色彩表現、感情表現など写実性の解釈も一様ではありません。

 
自転車を配することの是非を悩んだ

樹木の反映、遠近の強調、空間の拡散などを計算

 道路で約5名座り込む、見物人も多い日曜日

非現実世界の様相を呈した

 樹形のムーヴマンをデフォルメした

校舎に映る雲、教室と構内に約12

支柱やマンホール、ペンでは人や車の残像も描いた

祭り帰りの見物人が草履と内輪をくれたという

最終日、講評会

片付け時間を見込めば講評会は慌ただしい、学生さんもまだ喋り足りない感

34作品、希望者は鉛筆・ボールペンスケッチを添えた
  
11枚とはいえ、10号ほどの画面サイズを密に埋める作業は実際容易くありません。ですが、現場主義で時間空間との一期一会を実感した体験学習は貴重だったと思います。漫然と段取りどおり進めることが許されなかったことで、是が非でもこれだけは描き伝えたいという思いが絞り込まれたのなら幸いです。
まだ表現を詰めていく段ではありませんが、それでも各人各様、体を張って描き取ってきたであろう風景表現は多様に亘り、それぞれの思いが宿っていました。
この先、おそらく関東圏の方とは直にお会いする機会はないと思いますが、卒展での作品を楽しみにしています。

(報告 水口先生)


※本当のたくさんの受講生だったようですね。
一日一枚というハードなスケジュール、受講生のみなさんも大変だったと思いますが、意外にスケッチに向くボールペンの側面、解らなくても描くうちに何かが出来てくる感触などを味わえたのではないでしょうか。
水口先生をはじめ、酒巻先生、小川先生ありがとうございました。

一日目はあいにく雨でしたが、二日目三日目は晴れたようで良かったです。
このように風景を描こうとすると雨や天候にも左右されます。時によっては三日間とも雨だったり、他学での場合台風などの時もありました。
 風景スケッチは思いついた日が吉日!風景の面白さも楽しんで下さい。きっと暑い夏よりもこれから冬までがシーズン、そして春先から梅雨までがベストシーズンかも知れません。(Y)