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2019年7月16日火曜日

1年次静物油彩

静物油彩1

 6/29()30()2日間、京都にて一年次の静物油彩のスクーリングが行われました。
油絵具に初めて触ったという方もおられましたが、最後にはほとんどの方がグイグイ絵具を乗せて制作されていました。油絵具は、たっぷり使ってこそ独自の性質、良さ、味が出ます。


 さて、今回は“三原色”と“白”の4色で描くという授業でした。こうした制限をきっかけに、混色の幅広さに気づいた方も多くおられたのではと思います。

こちらが今回のモチーフです。白一色ですが、様々な白がありますね。
課題の目標は、混色を工夫して白の違い、質の違い、奥行きを描く、溶き油の配合を考えて、油絵の具に慣れることが挙げられます。
一日目の午前中はエスキース。すべての制作に共通することですが、どこを切り取ってどう描くかエスキースで確認します。午後から油彩に入り、溶き油の配合を考えながら混色に挑戦します。
二日目、溶き油の配合を変えて色調を確かめながら、全体のデッサンを見直していきます。白の描き分けができていますか?
こちらも今回のモチーフです。白の違いが見えますか?写真でも結構分かりますね。    

エスキースに取り組む大切な時間です。どう切り取るか、良い構図とは…、と場所を変えて探ります。    


描く場所が決まれば木炭であたりをつけて油絵具で描き出します。エスキースと見比べたりモチーフを何度も見直したりして修正します。    


一層目の絵の具が乗り始めました。モチーフごとの色分けではなく、モチーフを横断しながら絵の具を乗せるのがポイントです。
塗り絵ではありません。空間表現ですよ。

二層目から三層目の仕事です。溶き油は、乾性油と揮発性油を配合して使います。前半は揮発性油を多目に、後半は乾性油を半分から3分の2で配合していきます。 

作品に手を入れることもありましたが、混色によって暗くなった画面をもう一度明るく戻すことを提案するために行いました。混色しすぎると彩度が低くなります。この課題では“白”という明るさがモチーフに担保されているので、混色に迷えばモチーフの白さをガイドに、一度画面の明度を上げてから続けてみましょう。

以下完成作です。同じ三色の絵具を使っているにも関わらず、それぞれの混色の成果が出ています。モチーフの色に混色された絵具を買うのではなく、画面での必要な箇所に、混ぜて作ったオリジナル色を置こうとされています。
バランスの良い構図でモチーフに執着した観察が行われ、クオリティ高く見応えのある作品ができました。





始まるまでは、白を意識するあまりに渋い色味になったり、色味の無い白になったりすることを危惧していましたが、決してそんなことはありませんでした。むしろ、複雑で幅広い混色に挑戦された結果、それぞれ創意ある色調で制作を進めることができたと思います。ただ工業製品のような幾何的な形態のプロポーションを捉えることに手間取ったのも事実、今後も修行は必要です。がんばりましょう。

以上西垣先生からの報告でした。