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2018年12月26日水曜日

東京外苑キャンパス スクーリング報告


 東京外苑キャンパスでつい先ごろ行われた、二年次配当スクーリングの報告が津上みゆき先生より届きました。34名と結構人数が多かったので田中愛子先生にも入っていただきましたが、この授業は3日間で三枚の油彩を描くという少し忙しいスクーリング。でも今まで描けなかった人はなく、造形やコンポジションを体感できる授業です。
 3日で三枚の油彩画ですよ!これは考えていてはできない芸当。油彩を扱う洋画ならではの課題です。きっと受講生の皆さんは、「結果を考えずやれば描けるんだ」という自信が少しはついたのではないでしょうか。

洋画Ⅳ-2 【コンポジション】


2018年12月21日(金)-23日(日)


東京外苑キャンバス 
担当:津上、田中

 受講者34名

12月21日(金)「グレイの発見」と「絵画の明暗のバランス」

使用絵具:補色対比にある2色、白
キャンバス:15F

・導入、コンポジション概要、3日間のスケジュール説明
・グループに分かれモチーフのセッティング、制作場所決定、ライティング決定
・補色対比にある色(青系+紅・オレンジ系)(赤系+緑系)(黄系+紫系)を持参の絵具チューブより各自で選出
・補色混合によるミドルグレイについて、デモンストレーション
・スライドレクチャー(バロック、キュビスム、フォービスム、などから作品紹介)
・スケッチブックにエスキース、画面とモチーフの大きさ、切り方、背景面積との関係、など観察の上、構図を決定
・油彩制作

講評 1700から
4名の作品を例に挙げ、構図、混色、補色、形態感、背景等、を注視し、観察の深さと混色の幅は自ずと伴っていくことを確認










12月22日(土)「マチエールと面の構成」「絵画としての平面性の発見」
使用絵具:茶系絵具、白、黒
描画用具:ペインティングナイフ
キャンバス:15F

・導入、キュビスムからヒントを得て、多視点、形の連続性、を画面に取り入れる
・エスキース、多視点から一つの対象を観察し描画を試み、画面に盛り込んでいく
・油彩制作

講評 1600から
1日目、2日目の作品を一つのイーゼルに上下に配置し、個別に寸評
・ナイフで描くことでの独特のマチエール、キュビスムを利用した構成など、矩形画面の意識、背景のことなど再確認









12月23日(日)「色彩と形」「絵画空間の追求」
使用絵具:自由
描画用具:自由
キャンバス:15F

・これまでの2日間での制作を踏まえつつ、モチーフから派生した自由な表現を試みる
・色彩表現の例としてフォービスムの作品などを紹介

講評 1530から
3点並べて、3人1組での講評

まとめ
・すべての絵画は、形態の構成、明暗のバランス、色彩の関係、材質感や筆触といった、絵画的諸要素で成立していること、それらをいかに構成(コンポジション)していくか、ということを、3日間の課題で体験
・達成感、反省点、発見、など、各自で次作品につなげていく

さいごに
・ここで紹介する写真、制作で皆が頑張っている姿そして作品はほんの一部、一例です。
・芸術大学とは何か、芸術大学に何をしに来たのか、一人の美大生として、これからも自信をもって真摯に描き続けてください。













全部掲載とはいきませんが、皆さんの三日間の作品です。

報告:津上先生

※受講生の皆さんは勿論のことですが、津上先生、田中先生多人数の指導大変だったと思います。ご苦労さまでした。
しかし、少しばかりの経験や知識だけで考えてばかりでは絵画は埒があかぬもの。
こうして手を動かしてこそ、自分の目標や思考の整理もできるということが伝わったのではないでしょうか。実は技術もそこから生まれてくるのです。
 描き続けていると、ついアイデア勝負を考えてしまいがちですが、このように自分に課題を設定し、描きながら考えていく方法はとても大切なのです。今回の受講生の皆さんもこの経験を忘れないようにして下さいね。(Y)