アートの旅に出かけようとは、「美術手帖」9月号のタイトルです。それは瀬戸内国際芸術祭を特集したものでしたが、その一部を今日は紹介しましょう。10月5日から11月4日までの秋会場ももう終わりに近づきました。気持ちのよいこの季節、次の連休を利用してアートの旅は如何ですか?
まず大竹伸朗展から。
香川県丸亀市の猪熊弦一郎現代美術館で11月4日まで。
美術館正面玄関はおなじみの猪熊弦一郎の巨大な絵画(といっても一面タイルです。)が私たちを迎えてくれます。
「時憶—美唄」北海道美唄市に残されていたボーリング場の看板?を大竹氏が持ち帰られて後でネオン管を取り付けたもの。学芸員の方のお話では美術館内への設置が大変だったとか。でも一階エントランス部にバチッと決まっています。
「時憶ー雲」これらネオン管も大小さまざまで大竹氏が集めてきたもの |
「ニューニュー」というタイトルのとおり、『「大竹伸朗の現在」に焦点を絞った大規模な新作展』でした。立体、絵画、コラージュ、ほか猪熊美術館の空間を最大限に生かした展示になっていました。この美術館は写真撮影がOK。他の瀬戸内関連の会場では撮影禁止が多い中で、とてもおおらか。きっと大竹さんがそういう方なのでしょう。
「ニューニュー」というタイトルでありながら、どの作品も新しい素材使用ではなく、打ち捨てられた廃棄物に近いものなども再利用して新たなかたちを与えたものばかり。強靭なエネルギーを鑑賞者に与えています。本学に来られてレクチャされたときの言葉よみがえりました。「ぼくのグッとくるもの。安っぽいとされるもの。素人っぽいペインティング。物同士のとんでもない組み合わせ。字のかたち。模様。自分のスタイルではないもの。」などなど。11月4日まで。
次は豊島。「てしま」と読むそうです。瀬戸内海を臨むなだらかな勾配を下ると、美しい棚田が広がって、のどかな景色。日本は美しいなあ。
この右手にあるのが豊島美術館です。
地面にUFOが潜んでいるかのような建物が、西沢立衛氏建築の豊島美術館。
柱一つない構造で、天井にある2つの開口部から風、光、音を直接取り込んでいます。内部には不思議な水溜まりや水滴が方々にあって、それらが密やかに静かに流れ、まるで生き物みたいに床をつたいます。
内藤礼さんの造形で、時間の移り変わりとともに湧き出た水(泉)が様々な表情を見せていきます。私がうっかりと小さい水溜まりをを踏んでしまったら、周りの人から怪訝な目で見られてしまいました。単なる水ではないのですね。水神話かな。鑑賞者がそれぞれの佇み方でゆっくりとした時間を味わっていて、日本人ってつくづく精神的な民族だなと思いました。水とか風とか、光とかに魅かれるのですね。
もう一つは横尾忠則氏の豊島横尾館です。
残念ですがここも内部撮影は禁止。少しですが家の庭の模様です。
前の美術館とは好対照でした。
この写真は美術手帖から。 |
最後はイサムノグチ庭園美術館。
高松市牟礼にあります。『イサムノグチは1969年からこの地にアトリエを構え、NYを行き来しながら以降20年余りをここで制作をしました。このアトリエの近くには自ら選んで移築した住居もあり、この地域全体が「地球彫刻」となっています。』
古きよき日本の風景がここにもちゃんと残されています。まことに残念ですがこちらも撮影禁止。カメラを向けるという習慣のほうが本当はおかしいのかもしれません。自分の目で見よということです。
庭の中心に楠の古木や桜があり、石の位置、木の位置が借景の山とともに見事に納まっています。
ここは久しぶりで来ましたがよかったです。それでこの地の石のかけらを持って帰ろうかなと思いましたがやめました。甲子園球児みたい。持って帰れるのはここで刻まれ記憶だけ。
ここでチケットを買います。見学は予約制です。 |
作品が未完成なものも混じっているとのこと。作品の配置は全てノグチが決定。 |
話題を変えて。
洋画研究室を少し紹介しましょうか。
3年次担当の小枝繁昭先生と水口裕務先生です。スクーリングの休憩時間のスナップ。
左側、水口先生です。白いシャツが多いです。 右側、小枝先生です。赤い洋服が多いです。 |
こちらは一年次担当の由井武人先生。
シャイでオシャレ。
そして皆さんが一番お世話になるのが、洋画でおなじみの尾中奈緒さん。 左から読んでも右から読んでもオナカナオさん。 すみませんよけいなことですね。 ではまた次回に。(K.) |