師走の週末。本当に日が落ちるのが早いですね。暗くなると、このシーズンは観光スポットのライトアップやクリスマスのイリュミネーションが瞬いてなんとも豪華です。日本中が夜間青や赤に点滅する季節なのでしょう。さて展覧会も華やかです。この季節を彩る展覧会を紹介します。先日お知らせした二科展など美術館やギャラリーから。
二科展ー京都市美術館
久しぶりに先生に会われた卒業生も多かったのでは?
今回二科展でパリ賞受賞と会友推挙の篠原涼子さんの作品。素材研究で院生はお世話になったのではないでしょうか。これはフレスコで描かれた作品です。赤い顔料がひときわ冴えて目立っていましたね。
同じく損保ジャパン賞受賞の山岡明日香さんの作品。篠原さんも、山岡さんも本学の卒業生。二人は同級生でライバル。お互いにいい刺激を与えています。絵画も額縁にも色彩で埋められていました。公募展というのは、作品保護の上で額装を余儀なくされますが、その役割以上を果たしていて作品と額のコラボですね。
続いて本学1年担当の古野恵美子先生の個展(ギャラリーa 失礼しました12月15日までです。)から。
この作品は確かSMホールの大きさでしたが、 金箔の大地の上に人々が集う風景。掌のなかで愛おしむような温かい風景ですね。この季節にぴったり!
次は大竹茂夫展 「幻楽四獣奏」
ギャラリーa は京都寺町御池上がるところにありますが、その近くで京都市役所斜め前にある蔵丘洞画廊(075-255-2232)では大竹茂夫さんの個展が12月15日まで行われています。
大竹さんは私と京都市立芸大時代の同級生です。 彼はフレスコ画を卒業されて、大きな壁画から今回のようにテンペラと油彩の混合技法で小品も沢山発表されています。今回のタイトル面白いですね。作品には人や獣(大竹調の)が物語的に描かれていて大竹ワールドにぐっと引き込まれます。会場ではご本人が未完の作品を制作するというパフォーマンスもあります。画家のパレットって私はいつも興味津々。
額の作品に応じてマットの色彩が変化。ヨーロッパ的な色彩です。
大竹氏。
大竹氏のパレット。
こちらは倉敷の大原美術館の工芸館で現在展覧会をされている、本学美術工芸学科染織コースの八幡はるみ先生の工芸•東洋館前広場のインスタレーション作品です。
工芸•東洋館の棟方志功、芹沢銈介室が開始室して50周年を迎えることを祝し、「工芸•東洋館を祝う」というテーマで八幡先生の作品が工芸館のなかで展示されています。残念ながら館内は撮影禁止ですので、このショットだけでごめんなさい。
工芸•東洋館では河井寛次郎をはじめ日本の工芸に歴史的な足跡を残した陶芸家や染色家たちの各室が設けられていますが、八幡先生は各制作者をはじめ芹沢銈介の作品を同じく染色を手がけるアーティストとしてオマージュを込めて自作を展示されています。ぜひ冬の倉敷へ! 2014年1月19日まで。(12/23,1/13を除く毎週月曜、12月26~31 休館)
最後は高松にある四国民家博物館から。
四国民家博物館(年中無休)香川県高松市屋島中町91 tel.087-843-3111
屋島って、かつて源平合戦のあったところで有名なところです。壇ノ浦とともに名前の残る古戦場ですが、この四国村では昔の暮らしや家屋が当時のままの姿で復元されてこの屋島の南山麓に点在している、ユニークな場所です。
先日終了したのですが「うつくしいかたち/フォリーのある風景」というタイトルの展覧会が、この四国村で開催されていました。本学の情報デザインの藤本由紀夫先生や建築の中村勇大先生がかつて使われた民具や、家屋、村そのもの地形を生かしたインスタレーションをされていて、とても味のある魅力的な展観になっていました。
四国村にある安藤忠雄氏建築の美術館での展示より。
彫刻ではありません。かつて使われていたた民具。
色といい質といい深い味わいのある道具の数々。昔の生活を彩った生活用品の美しさに眼を見張ります。
四国村はこうした昔の環境のまま復元されて佇んでいます。静かでのどか。
こうしたおくどさんでごはんを炊いていたのですね。子供の頃実家にもありました。
余分な色彩がなくて、心に沁み入る日本の色彩。本当にうつくしいかたちです。
次回は大学院のスクーリング模様をお伝えしましょう。4年生の卒業制作も佳境に入ります。来週末から始まりますが、皆さんお会いできるのを楽しみにしています。(K.)