コロナ禍が一年以上続いていますが、皆さんご無事でお過ごしでしょうか。日本も遅々としていますがワクチン接種が始まり各方面で加速すべく努力はなされている模様です。もう少しの間自粛という形で頑張るしかありませんが、くれぐれも気を付けてお過ごしください。
さてその中で京都では2年次配当「風景を描く」スクーリングが行われ皆さん元気に挑戦していただいた様子。担当の水口先生より報告をいただきましたので掲載させていただきます。
今年度よりスクーリング表示が京都はK、東京はTという風にくっついており多少戸惑いますが、番号だけよりわかりやすいかもしれませんので慣れて下さいね。
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2年次スクーリング報告
洋画Ⅲ-2 K1「風景を描く」
2021年5月15日[土]・16日[日]/京都キャンパス
担当:水口裕務先生
教室では学びようのない大きな対象に挑んだことで、360度ビューから画面をどう切り取るか、視点や構図の問題、遠近空間の明暗や色彩をどのように平面に置き換えるか、解釈と表現の実際問題など、これら造形意識の広がりが収穫といえます。
併せて今回は油彩タブローや木炭デッサンとは趣を違える簡便なスケッチ材料を用いたことで、ボールペンの潔いメリハリや水彩の軽妙な瑞々しさなどが再発見され、よく知る手法にも広がりがみえてきました。
具体例として制作現場をみておきます。本学周辺の眺望ですが、手前の木々(近景)、平坦な街並みの連なり(中景)、向こうの山並みや雲(遠景)、なるほど特段絵になる対象物は見られません(そこがよろしい)。ここで惹かれた対象は空間そのもの、5月曇り日の空気感か、時節柄平穏な日常を祈る思いもあったかもしれません。
参考まで各所の距離を測ってみました。その遠近は数十~数万mに及び、雲は案外低く、時折のぞく空の高さは宇宙までは抜けていなくて50~100km位、一見平板なパノラマ風景もたっぷりの空気塊を意識して立体視すれば表現たり得るドラマがみえてきます。
京都キャンパスは起伏に富み人工物と自然が共存する、それぞれ2日間の居場所を決めた
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1日目:導入・小講義、場所決め、制作11:00~17:00(巡回中事前課題点検)、講評会 「素描」鉛筆orボールペン(ボールペンを推奨)/ 曇時々薄日、実制作5時間
2日目:水彩ガイダンス、制作10:00~16:30(原則同一場所)、講評会
「水彩画」透明or不透明水彩(鉛筆・ペンの下描・上描可)/ 雨一時曇、5.5時間
受講生12名「素描と水彩画」全24作品(順不同)
1日目講評会「素描」
2日目講評会「水彩画cf.素描を添えて」
風景画題へのアプローチとして10点のプランを写真取材、プリント提出、写真技術の巧拙は問わず。作品化を意識した構図や明暗・色彩構成の絞り込み不足とともに主題の曖昧な趣味的スナップも多々ありましたが、総じて良好な取り組みでした。個別巡回中にそれぞれ何に惹かれたのか、作品化の可能性などをアドバイス、後に2、3点を本人選出、教室壁面に掲示し、イメージを共有しました。
終わりに
体力的にも(教員とも)たいへんな2日間でしたが手法を替えての2連作いかがでしたか。実際のところ僅か5時間で8号画面を密に埋めるのは容易くなかったようです。
今回は平板な画面から立ち現れる3D的風景空間を求めてきましたが、まだ現場の実感といった目に見えない思いを造形する段ではなかったかもしれません。
この先豊かな造形性を獲得すれば自身の心情や思想を醸し出せると信じ、技術的な裏付けを研く一方で自分らしい視点を探っていくことを日常としてください。
3年次へ向けて飛躍を期待しています。
(報告 水口裕務先生)