昨日由井先生より京都での一年次スクーリング「人体油彩Ⅰ」の報告が届きましたのでアップいたします。
《洋画Ⅱ-2 人体油彩Ⅰ》
期間:7月28日(金)~30日(日)
担当:由井武人先生
「スクーリング2日目にどう挑むか」
7/28~7/30 京都の瓜生山キャンパスにて人体油彩1のスクーリングが行われました。
人体の筋肉や骨格、構造を捉えるとともに肌の色味や空間表現を通して混色や配色を学んでいきます。
卒業してしまうとなかなかモデルさんを目の前にして長時間観察して描ける機会はないので絵描きとしては貴重な時間です。しかし人体そのものは目的ではなく一つの動機です。人間の身体という自然のモチーフをどのように観察し、表現することが出来るのでしょうか?
● プロポーションと形の確認。
どのスクーリングにも言えることですが初日は焦らず慎重にいきましょう。
感覚的に選んだ場所であっても、興味を持ったポイントがあるはずなのでそれを確認していきます。
色彩ガイダンスによって人物と空間の関係、バルールなどを知識的に整理していきます。
● 2日目は勇気が必要です。
どのスクーリングでもこのタイミングで思い切ったチャレンジをする人は得るものが多いと思います。分からないなりにとにかく絵具をのせてみる。違うと思えば拭き取ってまた別の色をのせてみる。2日目は逆に慎重になりすぎない方がいいとも言えます。消したことで画面に思わぬ魅力が出てくることもあります。美しさとは作るものではなく見つけるものかもしれません。発見です。
背景に納得がいかなくて拭き取った画面。プロセスの妙味があります。
一日の中でどんどん絵が動いていきます。とても楽しそうに制作されている姿が印象的でした。そしてLIVE感のある画面で見ている方もドキドキしました。
太ももが黄色 → 緑 → 紫と変化していきます。その色調の変化で立体感が捉えられています。指先の強い赤、薬指のピンクなど、作者の観察が色調の変化によって代弁されています。
●3日目はこだわりましょう。
離れたところから確認して画面全体を確認します。
モデルさんの顔の表情にこだわりました。よく似ています。
背中の筋肉を色調で表現することにこだわりました。
色の響き合いや明るさを保ったまま人体や空間を表現することにこだわりました。
全体の色調を大事にしながらも空間や立体感を表現出来ないかと模索しました。
逆光の背中に奮闘してこだわりました。
重心がのったシルエットが印象的です。
丁寧に色調を作りながら全体のトーンのバランスを見ていくことにこだわり、わき腹の筋肉、骨格の観察を追求しています。
初めての油彩でしたが筆の重ね方に対象を見ている実感が感じられます。
背景と人物、シーツなど画面上の色の関係性を模索しました。
●ふりかえり
納得のいく仕上がりでなかった方もいるかもしれません。それでもかまわないと思います。目の前に見えるものを追いかけ問い続ける制作は本人の満足度とはまた違ったところで今後の制作に大きく影響してきます。(報告:由井先生)
※実に様々な人体の描き方があるものです。勿論人体という魅力を知り正確なデッサンを目指しはしますが、それと同時に温度のある人間というものを描いていることを忘れずにいて下さい。多少デッサンがいびつになっても、形や立体を正確に写しとろう、人間という生き物を表現しようとする二つの目的があれば次第に力がついていくものです。
正確さばかりに囚われたり、自由気ままさだけを追いかけていては修練になりません。
全ては卒制以降の表現のためになります。是非二年次まではその姿勢を保ってやっていってほしいものですね。(Y)