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2018年6月15日金曜日

京都・東京一年次スクーリング報告

 今日は珍しくどんよりした曇り空ですが、梅雨入りしたと聞くとうっとおしく感じますが、あまり雨が降らぬのも夏の水不足が心配になります。
自分ながら勝手ないいぐさだとは思いますが…
 うっとおしいものでも、必要なものが欠けると生活にも支障をきたすことをつくずく感じてしまいます。
さて、梅雨入りした京都と東京で、ついこの前に一年次のスクーリングが行われました。
それぞれ古野先生、山本先生から報告をいただきましたのでアップいたします。
今回は双方とも人数が大く、お手伝いの先生やSAの方にも入っていただいてます。

洋画Ⅰ-2「石膏木炭デッサン」


期間:6月8日(金)~10日(日)
担当:古野恵美子先生、西垣肇也樹先生


梅雨模様の空の下、68(金)~10()3日間、京都にて1年次の石膏木炭デッサンのスクーリングが行われました。参加者は26名、初日と最終日の午後に西垣肇也樹先生も来てくださいました。

朝、教室に入っていくと、すでに石膏像の前に椅子を置いて眺めながら、描く気満々の皆さん。はやる気持ちをいったん静めて、まずは相手を知るところから。


「ラボルト像」こう見えて女性像です。


「メジチ像」男前です。

今回はこの2つの石膏像を3日間かけて描きました。石膏像の来歴や、木炭の使い方を、西垣先生のデモンストレーションも交えながらレクチャー。


クロッキー帳でエスキース。形は?明暗は?確認しながら


いよいよ木炭紙で描き出し


大きさ、形のバランスは手を止めて見直してみる

光の当たり具合や、描く角度などエスキースをしながら、描く場所を決定。メジチの顔の角度や首のライン。ラボルトの量感やフォルムの力強さ。それぞれの魅力を感じ取りながら描き出しました。


全体のバランスをみながら形を探って


面の向きを意識しながら形を確認

 画面に大きく配し、何回も見直しながら形を確認。う-ん。なかなか難しい。


26点並べて


1日目。描き終えて全体総評。自分が描いたデッサンを離れたところから、また他の人の作品と並べて見ることで、形や大きさなどを見直し、翌日の制作へつなげます。


明暗を置きながら面の向きを確認


石膏像の下にデッサンを並べて見比べてみる


西垣先生に的確に指摘してもらう

2日目3日目は、木炭で描いたり押さえたり。途中で形の違いに気づき、木炭を払ってもう一度形をとり直したり、なかなか画面に木炭を乗せられず苦労しておられた方も、思い切って強く描いてみたら意外とうまく調子が出てきたりだんだんと目前の石膏像が、画面に表れてきました。


メジチがずらり


ラボルトもずらり


順に1点ずつ講評

最終日の講評。自分の作品について、また人の描いたものについてもコメントをして3日間の制作を振り返りました。石膏像を木炭で表現することのむつかしさを発言された方も多かったのですが、3日間、熱心に向き合って描き続けたことにより、皆さんの目の中に、フォルムや明暗を見る力がずいぶん鍛えられたように感じました。また、光の方向(斜めからの光、逆光等)が、描く上でとても大切なポイントであることを感じた3日間でもありました。

テキスト課題の洋画演習Ⅰ-1「塊を描く」「私の靴」のデッサン課題をまだ出されていない方は、自宅で描かれる際に、片側からの1光線、そして石膏デッサンの3日間で見つけた幅広い明暗のトーンを、ぜひ思い出して取り組んでみてください。

3日間お疲れさまでした。テキスト科目もお待ちしています!(報告:古野恵美子先生)


※先生方、受講生の皆さんお疲れ様でした。
 先日私も水口先生と共に久々にデッサンを見せてもらいましたが、皆さん熱心!とてもよく頑張っておられます。多分今回の石膏デッサンでも同じだったと思います。
でも、この3日間結構疲れるのですが、とても大切なことを学びます。それは、どれほど上達しても、ベテランになっても同じことを繰り返しているということです。

 見ずに描くことはできないし、どれほど見ていても発見の連続です。
特に光と影の設定はとても大切ですね。それとともに観る角度や高さ、位置によっても全く見え方が違うものです。近い場所と遠い場所では全く情報量が違い、出来てくる作品に雲泥の差ができます。

こんなことが当たり前のように聞こえますが皆さんは新鮮に感じられたのではないでしょうか。でも、時間とともに忘れがちなのでしっかりと記憶しておいてくださいね。(Y)


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洋画Ⅰ-1「牛骨鉛筆デッサン」


期間:6月8日(金)~10日(日)
担当:山本努先生、小牟田悠介先生、田中愛子先生


 牛骨鉛筆デッサンを外苑キャンバスにて6/8、9、10の日程で行いました。学生さんは26人で北は北海道、南は九州と全国から多くの方にお集まりいただきました。

担当教員山本、小牟田先生(8日)、田中先生(9、10日)SA家田さんで授業を行いました。


モチーフはこんなのです。
牛骨をパネルに吊るしたものです。


導入風景

 デッサン経験のある方もいらっしゃいますが、初めての方でも対応できるよう素材の使い方、描く際の姿勢などにも触れます。
課題としては、ディテール観察やモノクロームでの色彩表現などといった対象の深い観察になりますが、自然な形態感を描くための捉え方など初めての方には情報量が多く聴くのも大変だったと思います。


描き出し

 形態を取ること、牛骨は複雑で外周の輪郭だけで正しいとなかなか判断できません。全体の量を持たせ、ボリュームによって輪郭も変更が生じたり、奥行きによっても変化が生じ、画面全体で見ながら常に良い形態を追求しながら描いて行くことになります。
その基準としてはじめに大きな形態の変化を面で掴むような意識を持つと良いでしょう。




中間講評

 皆さん物のベースがよく出来ていると思います。
制作に於いて必ずしも大きな組み立てから、表層のディティールへと順番に描くのが良いわけではありませんし、前に戻ったりとリニアに進むとも限りません。
住まいの周辺で建築中の家を見たことはないでしょうか。基礎があり、柱、梁などで骨格が出来て屋根や外壁といった外装に入ります。絵画はイメージという違いはありますが、ベースの組み立てがしっかりないとその表面は実態感を持ってくれません。




最終日

 最後の講評で個別にお伝えしましたので簡単にではありますが、
長い制作時間を通じて、対象を見続けた痕跡の蓄積が深い画面作りに繋がったと思います。故にクオリティの高いデッサンが描けたと思います。 


 制作に関して、対象を見るままに、または理解できいるので手が動くこともあるでしょう。この場合は、画面と距離をとって、今行っている仕事が画面全体の中で客観性を持って描けているか注意しながら制作する必要があります。
逆に何をしていいのか分からず、手が止まってしまうこともあります。この場合はモチーフを違った角度から見たり、画面を180度回して(逆さにして)見るなど視点を変えて見ても良いでしょう。
また、失敗を恐れず手を入れて画面を進めてみることも重要です。諦めが、失敗につながります。制作過程の変化の中では失敗も正解も紙一重であり、その状況を判断しながら描くことが経験につながります。
皆さん、熱心に制作に取り組まれました、講師側としもとても嬉しいことです。課題に限らず、日常的に時間が許せば自主的に物を描いて見てください。その積み重ねが、今後の自己表現につながると思います。

山本先生はじめ、豪華若手講師陣での3日間スクーリング。
皆さん実力もあり、美術界で活躍中の作家ばかりなので、さぞかし活気のあるスクーリングだったと思います。

先生方、みなさまお疲れさまでした。
山本先生いいことを言いますね!「あきらめが失敗につながる。」まさにその通りだと思います。誰でも多少の失敗はあります、というと少しの失敗と考えがちですが、多くの失敗を繰り返しています。

 誰かのせいにせず、自分でじっと我慢して苦しむことでしか解決法がないのでしょう。
世間には器用で技術に優れた人もたくさんおられますが、決してその人たちだけが作家として続いている訳でははないと思います。きっと作家として立っている人たちは他者のせいにするより、自分のふがいなさに嘆きながらも、じっと見つめ、こねくり回し、なんとかするぞという負けん気で生き残ってきたのだと思います。
 才能とは技法ではなく、根気・根性・頑固さなどもいうのかもしれませんね。
人の言に耳を貸さぬ頑迷というのとは違いますのでお間違いなく…(Y)