洋画Ⅱ-1 静物油彩1(K1)が、7/24,25京都で開催されました。
担当は、富士先生(主担当)・西垣先生のお二人です。
以下、富士先生から頂いたスクーリング報告をどうぞご高覧ください。
***********
7月24〜25日に静物油彩のスクーリングを開催しました。
梅雨があけ一気に温度は上昇。しかし天気は快晴。
暑い中、エアコンの効いた部屋での制作、
私はとても好きなんですが皆様どうでしたでしょうか。
最初はスクーリングの導入から。
洋画のスクーリングでは最初に課題目的や体験して欲しいことを説 明しています。
1年生は初油彩のスクーリング。
今回はとにかく「油彩に慣れる」を目標に制作をしていきます。
画像は今回使う画溶液、左から乾燥促進剤、揮発性油テレピン、 乾性油リンシード
導入では、他にも使い方や進め方、道具などの説明をします。
モチーフを知るため、最初はクロッキーから制作していきます。
様々な方向から描き、徐々に構図を決めていきます。
視点の高さに変化をつけはじめる方もいましたね。
そこから奥行を感じられますね。
とても良い発見だと思います。
クロッキー。
高さのある構図。横に広がりのある構図。
奥行だけでなく画面をどう分割するかとの
コンポジション的な捉え 方の構図もみられますね。
クロッキーがすんだら油彩制作へ
ん?どうしてみんなキャンバスに色を塗ってるの? と思った方もおられるでしょう。
油彩ではキャンバスに中間色を施した上から、
乾きの遅い絵具なので、
コントロールできるようにする学習でもあるのです。
(下画像はデューラーのデッサン。 中間色から影と明るい部分を描く)
ちなみに下塗りは事前課題で中間色を塗ってきていただきました。
一言で中間色といっても色とりどり。
個性が出ます。
受講された皆様は、下塗りと言えど、
次の作品にとりかかる際、
そして中間色地に下書き。
先のクロッキーがここで活きてきます。
モチーフ入れかた、皆さんうまくないですか?
重ねる事で成長するんだと思います。
さあ、ここから本格的に油彩をスタートさせます。
画溶液の割合図。覚えておくべき図ですね。
完成に近づくにつれ乾性油を増やします。
最初の層は溶剤を多く、上の層に乾性油分を多くし
ファットオーバーリーンの状態にしていきます。
描き始めは揮発性を多め(揮発7:乾性3) で
絵具を柔らかくし筆さばきをスムーズにし、すすめていきます。
デッサンでも、初めから細かい仕事をするのではなく、
それと同じく、 油彩も絵具を柔らかくして
全体を最初に捉えるイメージを持つと良 いと思います。
暗い部分から攻めた人は今度明るい部分から。
明るい部分から攻めた人は今度くらい部分を描いていきます。
絵具をキャンバスにのせるだけでなく、
(デッサンでも練り消しや、食パン、 ガーゼなどで消しながらすすめましたね)。
また、絵具の“厚み”もそれぞれに違いがでますね。
個別に制作過程を追ってみてみましょう。
Tさんの場合
モチーフの色味から入ったTさん。
その分、 色で塗り分けてしまい関係性が希薄に。
徐々に明暗をつけながら、
空間を感じられ、
Sさんの場合
下地の影響も考え、落ち着いた色から徐々に白さを表現していきました。
構図も良いですね。
Tさんの場合
すこし濃い目の色の下地塗り。
その分、下地の色が上層にも影響し
よい効果となりました。
色は単色で考えるのではなく、相互関係で考えたいですね。
周りの色の影響で、同じ色でも違ってみえますね。
Nさんの場合
青系統が基調の下地なので、 色味の変化をつけながらの制作になりました。
真ん中のねじれたロープの空間を描けるかがポイント。
他にも皆さん個性が出ます。
合評の様子。
合評は考えの整理場所として活用して欲しいと思います。
自分の制作を振り返り、 自分の特徴を知っていくと考えると面白いのかもしれません。
絵具、色の要素が入ってくると一気に表現の幅が広がります。
表現の幅も広がって、それぞれに課題もあったことでしょう。
人の数だけ課題があるはずです。
取り組んで欲しいと思います。