洋画Ⅱ-2【人体油彩1】b日程後半 2019年8月24日[土]~25日[日]/ 京都キャンパス
洋画Ⅱ-2「人体油彩1」b日程を受講された皆さん、おつかれさまでした。
8月10日、11日前半(b+s日程)の木炭デッサン(担当西垣先生)に続き、後半はF20号の油彩制作に取り組みました。b日程の受講者は13名、教室スペースにもゆとりがあり、落ち着いて制作できたようです。
入学後はや8月にして1年次スクーリングも佳境に入ってきました。「牛骨鉛筆」や「石膏木炭」の基礎デッサンは今思えば容易く、不思議な物体が散在する空間を描く「静物木炭」や白いモチーフ群を3原色で描く「静物油彩1」とも順調に学んでこられたことでしょう。そして本題「人体油彩」では人そのものと直に向き合いました。場の空気感が日常を超えるなか、生身の人を描くことの緊張感と表現の難易度は格別のものだったと思います。
実生活のうえで、あるいは絵画に限らずすべての学問においても興味の中心は人にあります。ここでの題意は、人が人を知ることの第一歩として、まずは量をもった人体構造が奥行きや光のある空間にどう在るのか、写実的な観察態度をもって正確なフォルムや豊かな色彩トーンを追究すること、併せて絵具遣いの実際にも手法の習熟を求めたものです。
それでは2日間の学習を振り返っておきます。
キャンバスに木炭で形をとる、構図とも確認、輪郭線のみテレピンで止め他は消す
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[初日]20分全12ポーズのうち、始め2ポーズはクロッキーとし、10分毎4ポーズのバリエーションで場所移動しながら多枚数、プロポーションやムーヴマンを捉えるウォーミングアップを行いました。
3ポーズ目からはポーズを固定し、場所決めやスケッチ、構図等のエスキースを経てキャンバスに形を取り始め、全体として昼一番から着彩に入ることができました。ただ時間的に慌てすぎた感は否めず、形や構図の吟味不足から後の修正に労を費やし、画面全体に絵具がのらないまま初日を終えた例も少なくありません。
油彩の画材説明は休憩時ほか、初心の方には個別に説明を重ねました。最終ポーズ後は寸評会の場をもち、各自に発表を求めました。
初日の成果、昼から20分7ポーズ、2時間余りの仕事量。
寸評会、自己点検と明日の計画を発表、教員も力不足を反省。
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[2日目]始業時間前より出席確認と簡単な説明を済ませ、始業と同時にポーズ開始、以降16時までの11ポーズ220分、4時間足らずで一定の完結を目指しました。もとより僅か2日間の仕事量にして最大限良質な油彩表現を望むほかありませんが、しかし各自濃密な集中力を発揮し、それぞれなりに目標に届く到達を成し得たことをうれしい成果として報告するものです。
気がかりは休憩時間を返上しての一日仕事、モデルさんに配慮して10分休憩のほか午前午後に20分休憩を挟みますので、そこはしっかり休むべきです。本講座はポーズ中撮影厳禁ゆえ、制作スナップはすべて休憩時間のもの、とはいえ皆さんは筆を休めない、対象を見ずして何を描いているのか、その意味でも休憩時間は想像で描き進めないことを勧めます。
空間処理に強い色遣いを試みようとしている
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逆光のドラマ、画面が暗く見辛いなかで奮闘中 |
イーゼルのピンナップ資料はルシアン・フロイド |
2日目講評会、油彩に前半木炭デッサンを添えた |
生身の人体と長く向き合えた学習は貴重だったと思います。ここでは1年次の基礎学習として、努めて科学的な観察再現を求めました。デフォルメや理想化をよしとせず、むろんキュビスムなどの抽象化、表現主義的な感情表現、アニメ的平面化も困ります。とはいえ、人が人を描く限りなにがしの思いは生じるもので、それぞれの人間観や美意識は表現の加減にあらわれていたようです。この先年次を進めるなかでその個性が確信されることを楽しみに、引き続き観察眼を研きあげていってください。
以上、報告は水口裕務先生でした。