寒くなりだしたところに大型台風の来襲!熱帯性低気圧に変わったとのことですが、いまだに各地に被害をもたらしているようです。
私も19日木曜日東京入りし、22日の日曜までスクーリングをやってきました。
スクーリング後、午後7時頃の新幹線に間に合いましたが、名古屋を過ぎた途端、駅でもない場所で緊急停止!停電による復旧待ちとのことでした。復旧後復走り出すとまたまたストップ、原因わからず…、彦根駅で緊急点検後40分遅れで京都へ着きました。
私はなんとか帰れたものの、在来では多くの方も足を奪われていた様子。皆さんちゃんと帰れましたでしょうか?
家につき寝ようとすると京都ではいままでにない暴風で、家がきしみ揺れていました。安心できるはずの室内でも中々揺れる部屋では眠れないものですね。台風被害に遭われた際にはこれどころではない不安な夜を迎えるのだろうと想像をしてしまいます。
皆さん大丈夫でしたか?被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。
今回はその時のスクーリングの報告です。
洋画Ⅲ-1 《静物油彩2》
前半:9月29日(金)~10月1日(日) 担当:山河全 SAA:小牟田悠介
後半:10月20日(日)~22日(日) 担当:山河全、小牟田悠介
今回は珍しく24名という大クラスだったので、今年より入っていただいた小牟田悠介氏に前半はSSA、後半は先生に手伝っていただき二人態勢で行いました。
この課題は二年次に入り、それまでの観察描写オンリーの指導から、デッサンから入りながら画面造形とは何かを体験していく課題です。つまり、モチーフを観察描写してから、それをコラージュで色と形に置き換え、それをエスキース(下絵)として徹底的に描いていくという課題です。つまり色と形の魅力とは何かを感じてもらう課題ということですね。しかし、シラバスにも書かれ、ブログでも紹介し、課題で詳しい説明を受けても、「絵画とはこんなものだろう。」という今迄の既成概念は中々崩れにくいものです。
今回スクーリングを終えた時点でもなんだかわからないという感想はよく聞かれます。
でもそれだからこそ、この二年次で体験し徐々に慣れてもらう必要がある課題なのです。
出は順を追ってみていきましょう。
一日目 鉛筆デッサン
壁に所せましと設営されたチープな色合いのモチーフを、自分の好きな場所を選んでデッサンしていきます。ここで画面への入れ方、興味の焦点を探り出す目的です。
何じゃコレッ!といった印象でしょうね。色とりどりのモチーフがぎっしりと壁にぶら下がっています。まずは、モチーフで驚かれるようです。
でも課題とあらばやらねば仕方ありません。
一日目の終わりには構図や着目点について簡単な講評を行いました。
二日目・三日目 コラージュによるエスキース作り
皆さんわからないなりにコラージュをやるうち、ここはこうしたい、ああしたいと
無心の造形意識が働いていきます。
今回、休憩しましょう。という掛け声にも反応せず、クラス全体がとても熱心に取り組んでくれましたが、夢中になるどっと疲れが出ますので、スクーリング中の休憩は大切にして欲しいものです。
でもできていくコラージュがモチーフのデッサンとは似ても似つかないことに不安もあるようです。
そこで、恒例ですが三日目にはモチーフもデッサンもない外の空間へ一度持ち出し鑑賞会をしてみました。明るい光の中でみると構成そのものの良さや足りなさが見えてきたと思います。
それぞれのエスキースの最終調整をして…合評会です。
ここらあたりで、あの人の作品が美しいとか、良い構成だといった言葉も聞かれ、少しずつ写生描写とは違う価値観に気づき出す人もいます。
ここで色と形の大切さに気づけば画面造形の勉強の6割は理解できたことになります。
4日目・5日目・6日目 油彩
さて問題の油彩描写です。後半は壁のモチーフが全て片付けられ、皆さんが作ったコラージュによるエスキースとデッサンのみが手がかりです。
自らが作ったコラージュのエスキースを徹底描写していきます。そのことで油彩画による作品づくりの基礎ともいえる、絵具の扱い方にかかっている表現の大切さを感じてもらうのです。
かといって自分の作ったものでありながら、それを写実的に描くというのは大変な作業です。皆さん喋ることも忘れ、息をつめて描いていきます。これがまさにエスキースから油彩に起こしていく画家が行っている作業なのです。
ここからは仕上げに向かいまっしぐらという感じでしょうか。皆さんの集中力に圧倒されます。
中には筆やナイフの使い方の練習をしながら進める人も…造形に対する理解が進んでいるようで嬉しいですね。
どーです!この気迫。
そして合評会。みなさまお疲れさまでした。
教室の三面の壁を使っての合評です。中々力の入った力作ばかりの良い結果です。
問題はただ描き写すだけが絵画ではなく、このプロセスで、画面における色と形といった造形要素の扱いの大切さが実感できたかどうかの問題です。
それと曖昧に描くのではなく細部に亘る観察と丹念な描写で魅力ある絵画が仕上がっていくという事実。
たくさんの新しいことに対面し本当に疲れられたと思います。しかし充実した6日間だったのではないでしょうか。小牟田先生、みなさん本当にお疲れさまでした。(報告:Y)
※油彩を描いてこられた方にとっては目からうろこかもしれませんが、学び始めて一年目の方もおられます。できなくても当たり前、判らなくてもいずれそのことが描いていくうちに実感できていきますので、あまり心配しないでも大丈夫です。
ただ、どこの美大生でもこのような体験をしているわけではありません。その意味では、今後の具象絵画に戻っても、抽象性を目指すうえでも活かせる造形上の貴重な体験になると思います。(Y)