卒業生ではありませんが、富士先生より現在行われている展覧会のレビューが入りました。
《「森村泰昌:自画像の美術史ー
『私』と『わたし』が出会うとき」展》
場所:大阪国立国際美術館
日時:4月5日(火)~6月19日(日)月休10:00~17:00(金のみ19:00まで)
先日、大阪中之島にある国立国際美術館で開催中の
「森村泰昌:自画像の美術史ー『私』と『わたし』が出会うとき」展を
見て参りました。
自らが様々な歴史上の人物に扮し、セルフポートレイトでしられる森村氏が今回は美術作品のなかの自画像をテーマに作品を発表しています。
どのような作風かご存じない方は下の画像を見てもらえれば分かると思います。
森村氏も初めは絵を描かれていたのですが、35歳の時にゴッホに扮したセルフポートレイトを制作し、発表しました。ゴッホの自画像を参考にし、各部位も作られています。
帽子の部分は紙粘土の塊に釘を打ち付けた物で作られており・・・
ジャケットにもゴッホ風のペインティングをし、顔にももちろんゴッホ風のタッチでペイントしてあります。
はじめてご覧になる方には、絵画ではないので、どう鑑賞すればよいのか戸惑う方も
おられるでしょう。が、じっくり鑑賞していくと・・・
絵画の登場人物全て森村氏(笑)深刻なテーマであるのだけれど
何となく笑える要素もあったりで鑑賞者を楽しませてくれます。
西洋絵画に対して敬意を払いながらも、ちょっとしたアイロニーを含ませることで
様々な見方を誘発させてくれます。
良く見ると絵画が制作された当時には存在しなかった物も使われていて、必ずしも元絵の再現だけを目的としていないことがわかります。
画像は、ベックリンの自画像(ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像)を元ネタにした作品の部分なのですが、筆先がわかれています。
気になったので、後で元絵を確認してみると、確かに筆先がわかれて描かれていました。
元絵を再確認させるための仕掛けだったのでしょうか。まんまとひっかかってしまいました。
面白かったのはベラスケスの部屋。
詳しくは見てのお楽しみですが、作品を眺めていると自分が絵の中に入り込んでしまった様な錯覚に陥ります。
「ラス・メニーナス(女官たち)」自体が、鑑賞していると画中の人物に見られているような効果をもっているのですが、それをさらに説明してくれている作品でした。
私も「ラス・メニーナス(女官たち)」に描かれているキャンバスの止め方が、いつも不思議だなと思うのです。
上の画像は森村氏の作品ですが、元絵では木枠側面ぎりぎりにキャンバスが張られて
いて「これはどうやって止めているのかな??張れたとしても、ヘロヘロな張りになってしまいそうな・・・。」
と思ってしまいます。当時はこのくらいの張り方が普通なのでしょうか?
それともベラスケスのメッセージなのかしら?謎です。
最後に美術館地下2階では、映像作品が見られます。
60分と長めですが、それでも今回の展示の総まとめといえる映像作品です。
映画の様に楽しめるので、最後にはぜひ鑑賞してみてください。
(今回は写真撮影がOKの展覧会でした。勢いで同時にやっているコレクション展まで
撮影してしまいそうですが、森村展だけですのでご注意を(笑))
(報告:富士篤実先生)
※富士先生レビュー投稿ありがとうございました。
先日は個展準備で忙しい川村先生も江之子島で行われている「大阪クラブ」の展覧会へ行かれた様子。
私は土曜に京都のギャラリーを三か所と美術館一ヶ所。日曜には上記の大阪クラブ最終日へ駆け込みました。ついで森ノ宮サクラアートミュージアムで行われてる押江千衣子先生の個展会場へも伺いました。通信で学ぶ方にとり材料の扱いが大変勉強になる展覧会ですよ。6月までやっていますので是非ご覧ください。
帰りに神戸三宮で城野先生出品されている「京」展へ、こちらも最終日で滑り込みでセーフといった状態でした。
京都から大阪、神戸と駆け回り多少疲れましたが…
展覧会鑑賞は何よりの絵の栄養素!皆さんもいろんな展覧会をご覧になってますか?(Y)